ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

甲斐駒ヶ岳・栗沢山・アサヨ峰 2019年9月2~3日【後編】



前編(一日目)はこちら↓



仙水小屋でテン泊。
一日目は栗沢山・アサヨ峰に行ってきました。
そして二日目はいよいよ甲斐駒へ登ります。

午前3時過ぎに起床。
星はどうかな?と思いテントの外に出てみるも、なんだか曇っている様子。
まあいいや、と気を取り直して身支度を整えます。

4時少し前に、ヘッデン装着して出発。
今日は仙水峠から駒津峰、そして甲斐駒山頂へ向かいます。
御来光をどこで見るべきかというのが問題だけど
まぁどこかで見られるでしょう、とざっくりな計画。

ヘッデンの灯りだけを頼りに仙水峠までのゴロゴロ道を行き、
峠からは急登続きの樹林帯を黙々と歩きます。
体がまだ起きてないうちは足取りも重いし息が切れる。

でもだんだんと、東の空が明るくなってくるのを見て




ヨッシャ!と気合いを入れ直します。




駒津峰までの登りの最中、森林限界を超えたあたりで
こんな風景が待っていました。




左の黒い岩陰が摩利支天。




雲と雲の間が燃えています。







淡いピンクや紫。
風も強く、表面の雲が流されてどんどん景色が変わっていきます。







黒っぽい重たい雲の向こう側に赤く染まった空。




あ、甲斐駒山頂(左)もだんだんと見えてきた!




そして5時過ぎに御来光。ありがたや、ありがたや。
今日も良い一日となりますように。




湧き上がる雲が日の光を浴びて様々な色に輝いて、
ちょっと待てよ、これはカオカオ様が来るぞ と
私の脳内では諸星大二郎ワールドが繰り広げられていました。
(カオカオ様の話も大好きです)




さあ、辺りはすっかり明るくなりました。
駒津峰も見えてきたし(ニセピークかもしれんけど)
岩々を越えていきましょう。




駒津峰に到着。ここって長谷村なんだなと思いつつ、
ガスガスなので先を急ぎます。




ここからしばし下りの道、時々登り。
鎖やロープのない岩場が連続して現れますが
特に危険なところはありません。




あとで写真を見返していて気付いたんだけど
ここって六方石の脇から撮ったのかな?
その記憶は曖昧ですが、ここから少し進んだところに分岐があります。




ああー、ここだ・・・
事前に調べてはいたものの、
直前まで「どっちにしようか?」と迷っていた
山頂への分岐。

まっすぐ行けば直登コース。右へ行けば巻き道。
直登はそこそこの難易度の岩場で、巻き道は歩きにくいザレた登り。
うーん、体力に余裕はあるしある程度の岩場なら大丈夫だから
ここは直登で行ってみましょう。




登り始めは楽勝。
こんな岩場ばっかりだったら全然危なくないよねと思った…のですが
この少し上の大きな岩のところで足や手がどうしてもかからず、少々焦ったことも。
でもなんとかよじ登り、というか這い登ったのでありました。




頭の中で「三点確保…三点確保…」と繰り返しつつ
なんだかよくわからない姿勢になってましたね…お恥ずかしい。




岩場はまだまだ続くけど
登りにくくて焦ったのは最初の方の巨岩だけかな。
とはいえ油断は禁物です。










向こうに見えるのが巻き道ルートか。
下りはあっちに行こう、絶対(決意)。




今まで登ってきた稜線がガスに飲まれていく…。




他の山だったらこういうところって
絶対鎖かロープがあるよな…と思いつつ
両手足を使ってよじよじと登っていきます。
甲斐駒はどこまで男前なんだ…。




ふと振り返るとガスが少しずつ晴れてきていました。
きれいな稜線!!テンションが上がります。




多分、もうちょっとで山頂。




いや、まだだった。

そしてやがて




着いたーーー!!(背景真っ白け)




おおーーー!!!
立派な石積みの祠と草履。雑誌やネットで見てとても印象に残っている風景。
どうやら草履を奉納すると足腰が強くなると言われているそうです。
それでたくさんの草履が格子に結ばれているんですね。




山頂には大己貴大神と共に駒室大神が祭られています。
 摩利支天峰には摩利支天、西峰には、天照大神馬頭観音烏帽子岳には薬師大神と大頭羅白神。
黒戸山には刀利天と大日大神が祀られています。

甲斐駒ヶ岳神社HPより)


祀られているのは大己貴大神(オオナムチ=大国主神)だったのか!
事前に予習しなかったので、恥ずかしながらここへ来て初めて知りました。
実は前の晩に読んでいた「暗黒神話」でちょうどオオナムチが現れるところまで読んで
その後寝落ちしたのですよ・・・
前回の木曽駒で馬頭観音の碑を見たというだけで「暗黒神話」を持ってきたんだけど
結果的に正解でしたな…なんて。まあ正解も間違いもないんだけどさ(;'∀')




山頂からは鋸へのルートも。
数年前に仙丈ヶ岳へ行ったとき、北沢峠にて
「僕はこれから鋸へ行ってきます」と話す男性と居合わせまして。
私たちはその日仙丈から鋸を眺めながら「カッコいい山だねー」
とのんきに話していたのです。
そして下山後に知ったのですが、ちょうどその日鋸で滑落事故があり
亡くなった方がいると・・・。
私たちが話したあの男性がまさか、それとも別の方か・・・
と、ぞわぞわと恐怖を感じたことをよく覚えています。




どんなベテランでも「まさか」という事故は起こるもの。
我々へっぽこ登山者は尚更気を付けねばなりませんね。
ひとまずお腹が空いたので簡単にごはんにします(´・ω・`)




スーパーをうろうろしていたときに
唐突に食べたくなったド定番、カップヌードル
何年ぶりに食べるんだろう、めちゃうまい。




オットはカップスター
まなったんからのメッセージが(笑)
オットは「誰?誰?」と言っていたので
今度テレビでお見かけしたら教えてあげよう。




鋸への稜線を眺めながらラーメンをすすり、一休み。
山頂にいた人たちはまだ少なくて、4~5組ほどだったかな。




しばしのんびりして満足したところで、ぼちぼち下ろう。
下りは巻き道ルートで行きますよ。




と、その前に




駒ヶ嶽神社本宮にもお参り。




様々な石碑や剣。




日本神話は好きだけど、神様の別名がいくつもあって何かとややこしいですね。
大国主=だいこくさまだけど、いわゆる七福神の大黒天とはまだ別の神様だし。
おお、マハーカーラ・・・孔子暗黒伝もまた読み直さなければな。




ここから見る山頂はガスの中。
草履が奉納されていた石の祠がうっすらと見えます。




巻き道をざくざくと下りはじめます。
この頃になると山頂を目指す登山者が続々と上がってきていました。
話に聞いていた通り、ザレザレで歩きにくい道だな。
下りはそこまでではないけど、登りは難儀しそう。




私たちが登った時はガスガスだったけど
気が付けば晴れてきていました。




鳳凰三山の向こうに富士山のお姿も。




そして雲海。



道中、摩利支天への分岐がありました。
行こうかな、とも思ったけど今回はパス。
いや、今回はって…次回があるのか?

摩利支天はもともとインド密教の女神マーリーチで
それが中国に伝わった時に摩利支天という名になったそう。
陽炎を神格化した神様といわれていて
今でも勝利や開運をもたらす神様として信仰されているとか。

(もっと遡ると、古代インドの聖典リグ・ヴェーダに出てくる暁の女神ウシャスが
元になっていると言われているそうです。
リグ・ヴェーダはほんの一部の歌しか知らないのでまだまだ勉強不足です…)




ぼんやりと神様のことを考えつつ、下っていきます。
あ、駒津峰が見える。その向こうに仙丈も。




そして右手に目をやれば、登りで通った直登ルートが見えています。
あのゴツゴツした稜線を登ったのか。遠くから見る方がこわいな。





巻き道も少々の岩場あり。
頭上には青空!嬉しいけどどんどん気温が上がってきて
ものすごく暑い(・_・;)




近くにいるとよくわからなかった六方石も
遠くから見ると面白い形をしています。




直登ルートと巻き道の分岐を過ぎ、
ひたすら駒津峰を目指します。
往路は結構下ったので、当然復路は登り。
人も続々来るので、道をゆずりあいながら。




駒津峰まで戻ってきました。
正面には南アルプスの女王、仙丈ヶ岳のお姿。
さっきまでかかっていた雲が取れて、きれいに見えています。




カールがよく見えますね。
ズームレンズで撮影していたオットは、山小屋も見えたそうです。




振り返れば甲斐駒山頂と摩利支天。
花崗岩の白さ、ザラザラ感がここから見てもよくわかります。







オット、青空をバックに。
この直後オットから「アサギマダラがいるよ!」と言われ
振り返るとすぐ近くをアサギマダラがふわふわと泳ぐように舞っていました。
写真には収められなかったけど、可愛かったなぁ。




山々を眺め、雲海を眺め、
名残惜しいけれど道は樹林帯に入っていきます。




かと思えば道中目の前に栗沢山が見えたり。
今日登った人は甲斐駒の大展望が楽しめているんだろうな。




アキノキリンソウもひょっこり。




その後無事仙水峠に着き、例のゴロゴロ道を通って小屋へ戻ります。
よく考えてみれば二日間でこの道を四回通ってるんだな。
今朝は真っ暗で何も見えてなかったけど。




岩々歩きから森に入る直前、
斜面に真っ白でふわふわしたものを見つけました。
苔かな?と思って調べてみたら
ヤマハナゴケというのに似ているようです。
(もし違っていたらスミマセン。)
結構広範囲に渡ってふわふわ生えていて、面白い光景でした。




森に入ったら小屋まではすぐ。










木漏れ日が美しい、静かな森。




そして仙水小屋の我が家に無事帰還。
お疲れ様でした~~~\(^^)/

ザックを下ろし、水場へ直行!



水の豊富な仙水小屋。これぞ南アルプスの天然水。
冷たいーーーうまいーーーーー!!!




甲斐駒へのピストンで空になりつつあった水筒に
小屋の美味しい水をたんまり詰めさせていただきました。
帰りの道中で大事に飲もう。




一息ついたらテント撤収。
あ、あれ・・・?来た時より荷物は減ってるはずなのに
かなりパンパンです・・・
(もう下るだけだから気の抜けたパッキングをしてしまったのかな)




山での鉄則。来た時よりも美しく。
二日間大変お世話になりました。




次に来た時は上の段もいいな…。

また絶対テン泊しに来よう。




北沢峠のバス停までの道のりは30分ほど。
再び、きれいな沢沿いの道を歩いていきます。




あ、一か所岩場あったの忘れてた。よいしょっと。




もう9月。山は秋の気配。




道中、仙水小屋の小屋番さんとすれ違いました。
小屋を出るときに一言ご挨拶を、と思ったけどお留守だったので
ここで会えてよかった!
ほんの数分の立ち話でしたが、やはり穏やかそうな方でした。
またいつかお邪魔しますm(_ _)m




北沢峠のテン場。時期的にもさすがに空いていますね。




そしてバス停に到着。
建物の中のベンチに番号が書かれているので、そこに座ってバス待ち。
以前来た時もこんな感じだったっけ??覚えがない…
下りてきたタイミングが良かったのか、10分ほど待ったところでバスが発車しました。
揺られながら、うとうと…
途中何かの夢を見たな。なんだったっけな。




ぼんやりした頭で仙流荘に到着。
すっかり夏の暑さだな~。セミもにぎやか。

帰宅前にどこか温泉に寄ろうと思ったのですが
この日は定休日のところが多くて。
最終的に高遠のさくらホテルさんの日帰り入浴を利用させてもらいました。
露天風呂につかりながら、甲斐駒もアサヨ峰もよかったな~
次は早川尾根を歩いてみたいな~帰ったら計画を練らねば。
・・・なんて思っていたところ、もうお一人露天風呂に入ってこられた方がいて。
なんとなく「山帰りですか~?」なんて話からはじめたのですが
よくよく話を聞いてみると、その方は仙塩尾根を歩いてきたとのこと!
おおおーーー上級者さんきたーーー!
色々会話をしつつも、私の脳内はすっかり仙塩尾根でいっぱいになってしまい
帰宅後すぐに地図を広げて妄想登山をしてしまいました。
一旦両俣に下りるのもいいなぁ・・・フフ。

そちらも、いつか。




すっかり青空になったこの日。
帰宅後にちょっと特別な気持ちで窓から甲斐駒を眺めていました。
南アルプスの貴公子、どこまでも男前な山でした。
ありがとうございました。



最後になりましたが、今回の山行メモ。
総距離15.4km 累積標高差2,042m
コースタイム標準13時間10分、自己12時間14分

余裕でコースタイムオーバーするかと思ったけどちょっと巻いてました(・・;)
でも皆さんはもっともっと早いもんな。
今後も風景を楽しみつつ写真を撮りつつ、自分のペースで良い登山を。

長くなりましたが最後まで読んで下さった方ありがとうございました♪



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