ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

カンマンボロン・瑞牆山(2,230m) 2020年11月10日【後編】

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カンマンボロンを経て瑞牆山頂へ辿り着いた私たち。

下山+αのお話です。

 

▼前編はこちら


 

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瑞牆山の山頂はほどほどの賑わい。

一般登山道との合流まで誰とも会わず歩いてきたのでこれでも「すごい人だ!」と思ってしまったけど、ハイシーズンの土日は比べものにならないくらい大変な混雑なんだろうなあ。

 

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雄大な富士山の姿。

 

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そしてお隣の金峰山

 

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五丈岩。向こうは雪が少しある感じかなぁ。

 

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南アルプスずらり。


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甲斐駒ドドン。

 

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そして八ヶ岳の山々。

 

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足元に広がるカラマツの黄葉たちもきれい。

 

そうそう、瑞牆の山頂からといえばやっぱりアレですよね。

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上から見下ろす大ヤスリ岩!!おおー素晴らしい(^^)

10年前に来た時はこの眺めを楽しみにしていたのに、山頂に着いたらガスガス真っ白だったのですよ。ようやく見れました。

 

皆さん山頂でお昼ごはんを食べていたので私たちもそうしようかと思ったのですが、風が強くて寒かったので「まぁこのまま下っちゃおうか」ということに。

 

山頂を去ろうとしたら…

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山頂の片隅、林に半分埋もれるような形で立てかけられていた道標を発見。

…あ!これって10年前に山頂に立ってたやつだ!

 

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↑これこれ。懐かしい~。

支柱が壊れたか何かしちゃったのかね。

趣のある素敵な看板だからまた元に戻してもらえるといいなぁ。

 

11:50 ではそろそろ下りましょうか~。

 

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そうそう、瑞牆山は山頂直下にこんな岩場がありまして。

そんなに高さのある岩場ではないのだけど、往路でよいしょっと登りかけたら岩の一部がツルツルに凍っていたみたいで見事に足が滑り体が半回転…!!地面にべしゃっと落ちてしまいました(;∀;)オハズカシイ

幸いケガもなく(2~3日お尻にアザが出来てたくらい)すぐに起き上がれたのですが、いきなり視界に空が見えたのでびっくりしたわ…。

そんなわけで下りはかなりビビってたのですが、凍ったところさえよけたら難なくクリアできてほっと一安心。ヨカッター。

 

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富士見平方面へ下りる人が多い中、私たちは不動滝経由で下の公園まで下山します。

10年前に登りで使ったルート。通る人がそんなに多くないのか、そこまで整備されているような印象ではなかったなぁ、確か。

 

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あ、何やら新しい案内板が立てられてるわ!励まされますねぇ。

 

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霜柱ビシバシで寒いけど、頑張って行こう。

 

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あらやだ!クーラー岩。(そういえばネットで見たな)

 

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どうやらこの岩の隙間から冷風が出るらしい…

でも今は勘弁!ただでさえ寒くて鼻水が。また、夏に(;'∀')

 

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見上げると今季初お目にかかるつららたち。

 

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不動滝ルートも巨岩・奇岩だらけの道です。

クライマーの皆さんはあんなところにも登るんだろうなぁ…。

 

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岩の名前が書かれた看板がたくさん。

 

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こんなところも通過。

 

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あ、ししくい坂の看板。これよく覚えてます。

「頑張って」の文字が泣ける~。

 

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ちなみにししくい坂はこのロープ場のところ…だと思う。

気を付けて通過します。

 

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どどんと聳えるふたつの巨岩、こちらは夫婦岩。これも見覚えあるわ。

 

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そうそう、事前にネットで調べた情報によるとこの不動滝ルートは土砂崩れが起きて登山道が流失してしまったそうなのです。

ヤマケイのサイトにこんな文章が↓

・不動滝のルート
7/1情報ですが、沢にかかった橋が落ちています。水が少ない時に飛び石で渡れるようですが、雨後は増水して渡渉できません。
感染症の影響で、ルート整備は8月末の予定です。
整備終了(8月末頃)まで、不動沢ルートへの立ち入りはお控え下さい。
瑞牆山からぐるっと下山ルートとされる方がいますが、これからの時期は午後からの夕立により渡れなくなります。

整備が終わるまでは入れなかったんですね。

もう11月だから入っていいんだよね…登山道どうなってるのかなぁ。と、少々不安を抱えつつも歩いていきました。

 

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確かに、以前来た時とはだいぶ様子が違っているなぁ。

 

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やや荒れた沢沿いの登山道を歩いていくと、ベンチのある小さな広場に出ました。

 

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12:50 不動滝に到着です。

 

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雨が少ないからか、それとも水の流れが変わったのか?

滝の流れに勢いがないような…。

なんとなく物寂しいような気がして休憩もせずに先へ進むことに。

 

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歩きながらふと横を見ると、隙間に石が詰められてワニみたいになってる倒木が。

通り過ぎて振り返ってみると…

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あ、思っていたより長い!こりゃワニじゃなくてヘビだな。

ちゃんと目の位置にも石がつけられているのはたまたまなのかな、それともわざと?

 

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道中には丸太でしっかりと作られた小さな橋が数か所あります。

 

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橋が流されたのはどこなんだろうなぁ。

…と思いながら歩いていくと、

 

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はて。「手すりに注意」だけがぽつんと立っているけど肝心の橋がないな…

 

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あ、橋あんなところにあった!!

流された橋というのはここのことなんだ(*_*)

こりゃ~大変だね~。なんてのんきに眺めていたのですが…

あれ?じゃあ私らはどこを通るんだろう…?

あっ、ここを渡るのか!!??

 

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途中までは無問題。

この先は…

 

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('∀')ん゜?

 

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恐怖の一本橋が出現。ここを渡るの…??

私のバランス感覚のなさを見くびってはいけないよ、こんなの絶対ドボンするやつじゃん!無理無理!!

しかし先に通ったオットから「左はダメだけど右のロープはわりとしっかり張ってあるからこっちを頼りにして歩いてきな」とアドバイスを受け…

 

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全集中で渡り切りました。呼吸どころか息が止まったわ。

こういうの得意な人はスタコラサッサ渡れるんだろうな。

ところで帰宅後にネットを見ていたら「この丸太橋は危なくて渡れません」と書いている方を発見したんだけど、ならばどこを渡ったんだろうなぁ。下に降りて渡渉したとか?それはそれでこわそう。

 

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渡り切って左側、おそらくここが崩れたんだろうな。

こわいだのなんだの色々書いてしまったけど、8月の整備作業がなければこのルートはまるで通ることができなかったんだろうな…大変な作業ですよね。ありがとうございます。文句言う前に自分が体幹鍛えねば(;'∀')

 

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いつも山に行くときはそれなりに元気なので今回も精神ゲージ100でスタートしたのですが、登りでは真新しい熊の爪痕やルートを探すのに意外と疲弊し40くらいまで下がってしまった私。(体力面はまだまだ元気)

そして個人的に苦手な一本橋の登場ですでに精神ゲージ5まで低下。

あと…もうひとつ…

実は山頂から不動滝ルートを下りはじめて数分たった頃。藪の中に人の顔がぽっかり見えたのです。てっきり人が登ってくるんだな、狭い登山道だからよけなきゃ、と思ったのですが一向にすれ違わない。そもそも人の顔が見えた場所は登山道じゃなかった…。なんだったんだろうな??あれは。薄暗くてちょっと寂しい場所だったから精神的なことも相まって私の脳内で勝手に作り上げた虚像なのかね…

 

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そんなこんなで珍しく「なんだかやだな…早く駐車場に着かないかな…」と弱気になってしまった私。がんばれがんばれもうちょっと。

 

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途中、大きな倒木が。

ザックをひっかけないようによいしょっとくぐり、日陰の寂しい道をテクテク進んでいくと…

 

ブオ~~~ン…

 

?なにか聞こえたような気がしてふと足を止めます。

 

ブオ~ン ブオ~~~…

 

!!??

 

左側の暗い藪から響いてくる、音のような声のような…

何なのかわからないけど聞いた瞬間ぞっと身の毛がよだつような不気味さ。

慌ててオットに「何か変な声が聞こえるよ!」と言ったのですがオットには聞こえなかったようで、

オット「え?ヤマレコじゃない?」

私「は?」

オット「ヤマレコのアプリがしゃべったんじゃないの」

ただいまの時刻は〇時〇分、標高は…ってやつ?

いやあの女じゃないわ!!(゚Д゚;)

 

結局なんなのかわからずじまいですが、その場はオットの「風の音じゃないの?」という言葉に「そうだ…きっと風が吹き抜けていった音だ…」と自分を無理やり納得させて下ることにしました。

でもたぶん熊だったんじゃないかな…あの声が聞こえた瞬間「こっちに来るな、早く立ち去れ」と言われたような気がしたのです。

気になったので帰宅してからちょこっと調べてみたら、某養蜂家さんが山で「グオーン」という熊の警戒音を聞いたという話を書かれていて、やっぱりそうだったのかなぁ…と改めてぞっとしてしまいました。

でも、万が一あの声が熊だったとしても「さっさと通れ!」と見逃してくれたんだろうなきっと…ありがとうございます(+_+)

 

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そんなわけで私の精神ゲージはめでたく0になりました。

…はっ、いかん0だと駐車場まで戻れないじゃないか!

無理やり3くらいまで引き上げて、とっとこ下っていきました。

 

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沢沿いの道を過ぎ、林道に近づいてきました。

 

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林道終点に到着!

ここからまだ駐車場がある公園まで30分ほど歩いて…

 

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13:55 わーーーー無事に戻ってきましたーーーーーー。

(恐怖と冷えでトイレに行きたくて仕方がなかったので真っ先にお借りして…)

 

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気持ちが少し落ち着いたところで、公園の上の段に行き瑞牆山を眺めてきました。

やっぱりここから見る瑞牆は最高だなぁ。

 

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10年前に来た時に「イタチ岩だ!」と勝手に命名した岩は健在でした。

当時は猫ではなくフェレットと暮らしていたので(;'∀')

相変わらずかわいい形をしていますねぇ。

 

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紅葉はもうすっかり終盤。美しい落ち葉のじゅうたん。

 

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あ、でもほんのちょっと紅葉も残っていました。

面白いですね、真ん中の木だけ葉が落ちていて。

 

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しばしのんびりと晩秋散歩。

 

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少し角度を変えると大ヤスリ岩も見えます。

 

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ここに来るといつも山をただ見つめてじっとしている人を見かけます。

シートを敷いて山とじっくり向き合う人、山を拝んでいる人。

他の山ではあまり見られない光景です。瑞牆山の山容がそうさせるのかなぁ。

カンマンボロンもパワースポットだと言う人もいますもんね。

私たちもまた世間の様子を見ながら山を眺めに、そして登りに来よう。

 

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本当なら山のあと温泉に寄ったりどこかで食事をしたり…というのもお楽しみなのですが、今回はどこも寄らずに景色だけ流し見しつつ伊那谷まで帰りました。

来年は富士見平でテン泊しつつ、数年ぶりの金峰山も行きたいな。

 

…というわけで、今回なんだか長々としたレポになってしまいましたが読んでくださった皆様ありがとうございました♪

気になっていたカンマンボロンを実際に見ることができ本当に良かったです。

実はとある友人も「いつかカンマンボロンを見に行きたい!」と言ってくれているので、そんなに遠くない内に再訪するはず。その時までにちゃんとルートを覚えておかねばな、と思った私でした。

 

▲おまけ▲

2010年6月にはじめて瑞牆山に登ったときの話。

mumaro2.exblog.jp