雨と霧と、少しの青空と。
【今回のルート】
麦草峠駐車場→白駒池→高見石→中山→黒百合ヒュッテ→にゅう→白駒池→麦草峠駐車場
▲合計距離 11.97km
▲累積標高差 618m
▲コースタイム 9時間5分(休憩含む)
【いきさつ】
前回、ゆめひなさん・たろうさんと戸倉山に登ったあと「次はどこにしましょうか?」という話になったとき、話題に上ったのが北八ヶ岳。
お二人におすすめしたいコースとして、12年程前に当時初心者だった私達が歩いたコースを二つ思い出したのです。
①麦草峠を出発して黒百合ヒュッテ方面へ向かい、にゅうを経由して戻ってくる周回トレッキング。
②渋の湯からの天狗岳。
色々相談した結果、奇跡的に晴れたら②の天狗、曇りなら①の周回トレッキング、雨なら中止、ということに。さて、当日は・・・
【本編】
↑当日朝。すべてを物語る一枚の写真(;'∀')
結局予報は朝まで雨、その後曇り・晴れ。夕方再び雨、といったところ。
ギリギリまで悩みましたが、①のトレッキングのコースなら大丈夫かなということで思い切って現地へ行ってみました。
当初の予定は7時スタートだったけど、雨が残りそうだったので大幅に遅らせ8時半スタート。
状況によってはルート省略したり引き返したりしましょう、ということで。
麦草峠の駐車場を出発して、まずは白駒池へ向かいます。
雨は直前に上がっていて、遠くの空にはほんの少しだけ青空も。
少しでも雲が晴れてくれるといいなぁ…と話しながら歩いていきます。
雨上がりの森はみずみずしい苔の世界。
よーく見るとものすごく小さなきのこが。
足元にはゴゼンタチバナ。気品あるお姿。
白駒の奥庭という、少し開けたところを通ります。
以前訪れたときも真っ白だったような記憶…。
でも、これはこれで幻想的な雰囲気。
あ、下の方にイワカガミを見つけました。
葉っぱが鏡のようにつやつや。
再び森に入り、白駒池へ続く木道を歩いていきます。
しばらく進むと・・・
ややっ、突如眼前に現れた白駒池!!
水面がとても近い・・・しかし先が何も見えない(;'∀')
常世の国や寄り神信仰など諸星大二郎の世界を思い出してしまう。
写真撮影もあまり積極的にせず、ひとまず先へ進むことにしました。
池近くの分岐からにゅう方面へ行くか高見石方面へ行くか…
天気もいまひとつなので当初の予定通り高見石へ向かうことに。
石や木の根っこで足を滑らせないように注意しながら歩いていくと、やがて現れた高見石小屋。揚げパン買えるかな…
まずは小屋の横から高見石へ。
大きな岩を越えていきます。
…が、展望は予想どおり(;'∀')真っ白ケッケなのでありました。
12年前に訪れたときは青空で、白駒池が見下ろせたんだったかなぁ。
気を取り直して小屋にお邪魔してみよう!と下りていくと…
なんと… 無情にも「本日休業」の文字!
ショック~~~~~(T_T)…なんて、実は平日しか山に行かない私達にとってはあるあるだったりします(不定休の中の休業日にハマりやすい)。
事前にお二人に「山小屋がお休みだった時のために最低限の食料は持っていきましょう」と伝えておいてよかった(;'∀')
気を取り直して中山方面へ向かってみましょう。
再び森の中を歩きはじめると、なんだかうっすら陽が射してきたような…?
曇天でしっとりとした森も良いものだけど、やっぱり光があるとより美しい。
道中にはオサバグサとの出会いも。
苔たちもみずみずしく。
(右の茶色い枝、写真を見返していたら人間の腕かと思ってビビりました…)
この道を歩いている間、話題に上っていたのは高見石小屋の名物「揚げパン」。
次は食べられるといいですね~なんて話をしながら歩いていたら、ゆめひなさんから「なんだろう…どこからかパンのにおいがする…バターの香りが…!」という衝撃の発言が。
ま、まさか幻覚ならぬ 幻臭…?
(臭って食べ物に使うのはアレだな、「匂」の方がいいかも、いや、「香」の方が美しいか)
また改めて揚げパンツアーを組まねばな~('ω')
見上げれば青空が。
わー!いやっほーーー!!
青空が見えただけでこんなにテンションが上がることってそうそうないよなぁと思いつつ、みんなでわーわーと声を上げながら歩いていきます。
とはいえテンションを上げすぎても後がきつくなるので、ちょこちょこと休憩をはさみつつ…。あ、木の横っちょに可愛い苔玉が。
そんな感じでしばらくはルンルン気分のだらだら登りだったのですが…
あ、あれ…?先ほどまでの青空はどこへやら、再びガスに包まれた私たち。
更に雨もパラパラと… わ~やはり降られてしまうのか~~~。
そんなにたいした雨ではなかったのでひとまずレインウェアは上着だけ着込み、ザックカバーを付けて歩いていきます。
ガスガスの中山展望台。
昔来たときもこんなだったっけ…?(記憶があまりない)
そして雨脚が強まる中、中山山頂も通過。
このまま雨が続くようなら予定変更してとっとと戻った方がいいかな?とも思ったのですが、ここまで来たら黒百合ヒュッテもそんなに遠くないし、小屋が空いていれば何かあったかいものが食べられる(もしくは軒下をお借りして持参のバーナーと水でカップラーメンでも)。
と、黒百合ヒュッテ方面へ再び歩き始めた私たち。
すると、幸運にも雨はだんだんと小降りになってきて…
カメラを出してお花の写真を撮る余裕も出てきました(T_T)
ひとまずよかった~~。
イワカガミの大家族。なんて可愛いんだろう。
こちらはコケモモ?
コケモモといえば八ヶ岳の山小屋さんのメニューにコケモモティーってありますよね。以前から気になってはいるんだけどまだいただいたことがないな、そういえば。
そんなことを考えながら歩いていくと、ガスの中に小屋が見えてきた…!
何度目かの黒百合ヒュッテさん。
やってるかな…と恐る恐る入ってみると、ちゃんと営業中でした\(^^)/
時間が押しているのでそこまでのんびりはできないけど、美味しいものをお腹に入れてパワーチャージ。
あったまる~~~~~。
スープまですべて美味しく頂戴しました。
更にたろうさん、ゆめひなさんご持参のおにぎりまでいただいちゃいました。
いつもありがとうございます!ごちそうさまですm(__)m
小屋を出る頃には雨も止んで、
ほんのり青空まで!
お腹も満たされたし心も回復。青空の威力ってすごいわ。
そうそう、小屋にお邪魔する前にお参りしたこちらのお社。
たろうさん、ゆめひなさんのお二人が「四本の柱がある…。御柱だ!諏訪神社なのかな」と。ほんとだ!恥ずかしながら私はまったく気づきませんでした(;'∀')お二人はさすがだなぁ。
さあ、再び頑張って歩いていきましょう。
来た道を戻るか、もしくはにゅう経由か…。
相談した結果、時間も距離もそんなに大きく変わらないから予定通りにゅう経由で行ってみよう!ということになりました。
小屋の近くにはコバイケイソウたち。お花も楽しみですね。
道中、晴れていたら天狗岳が見えるであろう場所がありました。
それにしてもこの雲の感じと青空…まるで絵の具で描いたみたい。
ガスが湧き上がっては流れていく。
…あ、二つの天狗を結ぶ尾根が見えてきた!!
(左が東天狗、右が西天狗)
ゴツゴツの東天狗の山頂もうっすらと…。
残念ながらこれ以上ガスが晴れることはなかったけど、少しでも山が見えたことでお二人も喜んでくれて本当によかった。また改めてお天気の良いときに天狗もいきましょう\(^^)/
ところでこの時、左側(東側)にぽこっとはげたような一画が見えていて…。
オットと二人で「なんか道標みたいなのが一本立ってない?」と話していたんだけどあそこは何だったのかなぁ。
この風景も名残惜しいけれど先へ進みましょうか。
ちょこっとだけアップダウンを繰り返しつつ、深い森の中を歩いていきます。
所々にイワカガミの群生があってつい足を止めてしまう。
こちらっていつものとろろ昆布…もとい、サルオガセでしょうか。
近くで見るとなんだか面白い。そして雨粒がついてきれい。
しばらく行くと…
突如現れた岩塊。にゅうに到着です!
「にゅう」というのは変わった名前ですが、由来には諸説あるそうで。
・刈り取った稲を円錐形に積み上げる「にう」が語源
・遠くから見た山の姿が「乳」に似ている
・岩が空に向かってニューッと突き出している
などなど。
実際この辺りを歩いていても看板によって表記が違い「にう」「ニュー」「乳」など様々。面白いな~。
ここはスタンダード「にゅう」ですな。
分岐にザックをデポして、空身になって寄ってみます。
随分ゴツゴツの岩山に見えるけど、実際行くとそんなに大変なことはなく…
「よいしょっと」
あっという間に登頂できます\(^^)/
(とはいえ転倒などにお気を付けください)
ゆめひなさんが早速悟りを開いている・・・!?
凡人にはわからない何かの力を感じているのでしょうか。
そして肝心の景色はというと… ガッデム(;'∀')
以前訪れた時もやはりガスガス真っ白でした。
晴れていれば大展望なんだろうけどな~~~…
…おや?なんだか細長い湖のようなものが見えてきたような気が…
そのまま少し待っていると、
わっ、ガスが晴れてきた!白駒池が見える!\(^^)/
おお~~こんなふうに見えるのか!
ちなみに歩いてきた方(南西)を振り返ってみたけどこちらは相変わらずガスガス。
もう少し粘りたい気持ちもあったけど、遠くで雷がゴロゴロ鳴り始めたので慌てて退散!
雷はだいぶ遠いようだったのでまだ大丈夫だと思うけど、早く下るに越したことはない。とはいえ、ただでさえ滑りやすい北八ツの登山道。急がせたらそれはそれで慌てて転倒するかも…(私の足元だって怪しいもんだ)。
というわけで慎重にかつなるべくサクサクと。
そして数分後、再びの雨。
心なしか雷も徐々に近づいているような…。
あ、この看板は「にう」だわ。
こっちは「ニュー中山」。
なんだか観光ホテルの名前みたいで面白い。
…なんてのんきな話をしていたのですが、このあと雨は本降りになり、更に雷の音もどんどん大きくなり…「ゴロゴロゴロゴロゴロ」と「ザアアアアアァーーーー」しか聞こえない中、ただひたすらに麦草峠を目指して歩いた私達でした。
しかも横着してレインパンツをはかずに歩いたもんだから当然足元はびっしょり(ゲイターはつけていたけど)。服を伝って靴の中までびしょびしょで、歩きながらあんなにがっぽがっぽしたのは子供の頃の雨の帰り道以来なんじゃないかな…(濡れちゃったらもうどうでもよくなって長靴の中にわざと水入れて歩きましたよね。え?やりませんでした?)
途中、一度だけ空がピカッと光り大音量の「ピシャーン!!」に思わずびっくり。樹林帯にいるときでまだ良かったな…。
でも心配なのは、朝通った白駒の奥庭と麦草ヒュッテ付近。
あの辺りは開けていて隠れるところがないので、もしさっきみたいにピカッと光ったら伏せようね!を合言葉に通過… 結果、何事もなく無事に駐車場まで戻ることができました。よかったーーーーー。
…でも、時間を確認すると午後5時半!!(;´Д`)
そりゃあ、森を抜ける直前で出会った鹿さんファミリーも何か言いたげな顔をするはずだよ…
「じー・・・」
ほんとスミマセンでした。
そんなわけで、みんなで無事下山できたので何よりだったのですが…お誘いした側としては反省点が色々と。
とはいえ…
結果的に休憩が多くなっていたのでもっとサクサク歩くべきだったな→でも慌てて歩くと転倒してケガしていたかも。
黒百合ヒュッテまで行かずすぐ下った方がよかった→でもヒュッテでのあの食事でみんなの体が暖まったからなぁ。
そもそも雨が降りそうな日に八ヶ岳ビギナーをお連れするべきではなかったのでは…→ぐぬぬ。
仕方ない、と思う部分もあるし結果的には良かったのかもしれないけど、場合によっては低体温症になったり転倒してケガをしたり暗い森の中で行動不能になったり(私とオットしかヘッデンを持っていない※一応予備のミニ懐中電灯もあるけど)等々、万が一のことが起こってしまった可能性もあったよねと帰宅途中にオットとあれこれ話をしていました。
今後はしっかりゆとりのある計画で、万全の装備で、少しずつステップアップにご協力できたらなぁ、と思ったのであります。
(仲間と一緒だと、二人だけの時に比べ学ぶことが多いのでありがたいです。)
それにしても。
今回雨に降られ雷が鳴り響く中をひたすら歩きながら
「ゆめひなさんとたろうさんに早速つらい経験をさせてしまったな… 買ったばかりの登山靴も雨と泥でぐちゃぐちゃだし… 『やっぱり山やめよ~~』って思われちゃったらどうしようか…」
と思っていたのですが、下山後お二人と話したら
「刺激的で貴重な体験になった!」とケロリと(?)していて、今後登りたい山の話もされていたのでほっと胸をなでおろした私でした(;'∀')タフな方々で良かった!
さあ、次回の山行も楽しみだ\(^^)/