今シーズン初のテント泊は、近くて遠い山へ。
【今回の行程】
一日目:鳥倉林道P→三伏峠小屋→烏帽子岳→三伏峠小屋(行動5時間34分)
二日目:三伏峠小屋→塩見岳→三伏峠小屋→鳥倉林道P(行動9時間11分)
▲合計距離 30.87km
▲累積標高差 2911m
【いきさつ】
私たちが住んでいる飯島町からも見える「とんがり山」の塩見岳。
いつか登りたいなぁと思いつつ、そのままになっていました。
その近くの烏帽子岳・小河内岳には9年前に登ったのですが、当時の私は技術的にも体力的にも「塩見はまだ無理だな」といったところ。
でも今なら行けるはず…。
ということで、今シーズン初のテント泊をしつつ塩見岳に登る計画を立てたのでした。
テント泊も久々だし塩見山頂直下は険しい岩場だというのでちょっと緊張するけど、慎重に安全に楽しく行ってみよう\(^^)/
【本編】
5:44 鳥倉林道ゲート前の駐車場から出発。
平日なので一番上の駐車場にすんなり停められたけど、週末や連休の時などは少し下の駐車場に停めなきゃいけないことも多いそうです。
一応頭上は青空が広がっているけど…山の上はどうかな。
まあ、雨に降られなければいいや\(^^)/
足元はアスファルト、更に微妙な上り坂。林道ニガテ(;'∀')
一泊のテン泊装備のわりにやけにザックがデカいな…
一番の要因は、これまで外付けしていたマットを自動膨張式のものに買い替えて中にしまっているせいかな。帰宅後、オットが「コンプレッションバッグが欲しい…」と言っていました。(重量はオット15kg※カメラ含む、私11kg弱)
未舗装の道に変わり更に少し歩くと…あ、登山口が見えてきた!
駐車場からここまでの時間って地図によって色々なんですよね。
30分と書いてあるものもあれば1時間というのもあるし…
ちなみに我が家はゆっくり歩いて45分。
そういえば小屋番さん風のお兄さんが途中で私たちを追い抜いていったけど、ものすごく軽い足取りであっという間に見えなくなったな…('ω')
さあさあここからようやく登山道に入ります。
久々のテン泊装備が重いけど、小屋までのコースタイムは3時間だからそう思えば頑張れる\(^^)/
普段ストックを使わない派ですが、荷物が重いときは最初から装備します(;'∀')ダブルストックより一本だけにした方が片手の自由が効いていいと雑誌で読んだので今回はそれを真似して。
そうそう、こんな風景だったなぁ。
9年前のぼんやりした記憶を辿りながら歩いていきます。
やたら印象に残っているマルバダケブキ。
ここと、鳳凰三山への道中でたくさん見かけた記憶。
カラマツ林の急登を登り切ったところで一息つくと…
こんな看板が。ありがたや。
今回はこの看板が現れるごとに水分を取ることにしました。
早め早めの補給が大切ですからねぇ…。
清々しい朝の空気の中、単調な道を登っていきます。
…すると、
目の前に現れた「なんとかショウマ」の群生!
こういう光景どこかで見たな…あ、空木の池山尾根だ。
あちらはカニコウモリやトリアシショウマ(多分)だったけど、このひょろり~んはサラシナショウマかな。
快適な小道+緑豊かな斜面は私たちの大好物\(^^)/
良い光景に出会えて大満足。
途中、木の橋や階段を越えたり(これもすごく覚えています)、
穏やかな道を歩いたり。
ふと足元を見ると、もふもふの苔の中にカニコウモリらしき葉っぱが。
と思っていたらその少し先にお花もありました。
葉っぱが小さくてかわいい…!!
儚げなダイモンジソウも。
すこーしお腹がすいてきたな…。
5/10のところまで来たらおにぎりタイムにしよう~と思っていたのですが、休憩によさそうな場所がなかったのでもう少し先へ進みます。
ああ~こんなのあったあった!一見壊れかけの階段('ω')
歩くと意外としっかりしているのよね。
おにぎりスペースどこにしようかな~~。
苔のじゅうたんに光が射してとてもきれい。
この辺りに人が来てもすれ違えるくらいの程よいスペースがあったので、すかさず小休止。
今回も池山尾根のときと同じ激塩梅おにぎり。
(※使用している梅干しが元々激塩味なのでお塩は足していません)
ミニサイズ(110~120g)を1人につき4つずつ作ってきたので、行動中~テン場でのお昼ご飯に。やっぱりお米は元気が出るわ。
おにぎりでパワーチャージしたら、再び元気に登っていきますよ~。
おお、またまた木の階段だ。
気を付けて進めば大丈夫なんだけど、雨の日は滑って怖そうだなぁ。
更に進むと水場に出ました。
今回、水はテン場から少し歩いたところにある水場で汲む予定なので行動中の飲み水しか担いでいません(でもせっかくなのでここまでに飲んだ分を補充)。
前回(9年前)は、事前に水場情報を調べたところ「テン場近くの水場の水はサビくさくて飲めたもんじゃない」と書いている人がいたので、用心してここでたくさん汲んでいったのですよね…重かったなぁ(;'∀')
で、テン場に着いてから烏帽子岳に行くついでに念のため水場の様子を見に行ったら、まったくサビくさくない美味しいお水がジャンジャン流れていたという…
最初からここで汲めばよかった…!! そんなおもひで。
塩川小屋方面(現在通行止め)との分岐を過ぎ、
崩落気味のところも気を付けて進んでいきます。
あ、トゲトゲの葉っぱだ。これなんだっけ?
オット「フキ… なんとかブキ。オニブキ??」
帰宅後に調べてみたらハリブキですって。そのまんまなのか、よし覚えたぞ。
更に登り、9/10の看板を通り過ぎ…
そろそろ「小屋まであと200歩」があるはずだ。
そう思い始めたころ…
あ、あった!!
看板の絵柄は少し変わったような気がするけど(作り替えられたんでしょうね)、200歩は健在。
前回は260歩くらいかけて歩いたのですよ、確か。私ってほんとに短足なんだな…とがっくりした記憶。さて、今回はいかに…!?
と、意気込んで歩数を数えていたのですが、160歩くらいまで数えたところで前から来た登山者さんに「こんにちは~」とあいさつしたらすべて吹っ飛びました…('_')
私の脳みそって鳥くらいのサイズしかないのかな…いや、鳥さんに失礼か…。
9:32 まあいっか、無事に三伏峠に到着です!お疲れ様でした♪
出発から3時間45分ほど。やっぱり荷物が重いとしっかりコースタイムくらいかかるなぁ。でも9年前はおそらく+1時間くらいかかっていたはずだから上出来です(;'∀')
受付を済ませたら早速テン場へ。
週末は天気もよく大変な混み具合だったそうですが、さすが月曜日、ガラガラです。午後到着の方もチラホラいたけど、この日は結局全部で10張くらいしかなかったかな。
これだけ空いているとどこに張ろうか悩むな~。結局真ん中の段の奥の方にしました。
そうそう、今回の目的は「塩見岳に登る!」ことですが、もうひとつ「山小屋でまた高橋さんに会えたらいいな~」というのもありまして。
元、中川村地域おこし協力隊の高橋さん。2年前空木の駒峰ヒュッテに泊まった時にたまたま小屋番をされていてびっくりしたことが記憶に新しいのですが、今年はなんと三伏峠小屋のお手伝いをされているそうなのです。
受付時には会えなかったのですが、私たちがテント設営をしている時にわざわざ会いに来てくださいました(ありがとうございます!)。
山の話など色々聞かせてもらったのですが、以前から問題になっていた鹿による食害がさらに深刻化しているそうで…「今年中央アルプスはコバイケイソウの当たり年だったみたいだけど、こっちでは鹿に食べられて完食ですよ」と嘆いていらっしゃいました(T_T)そんなことになっていたとは…
そんな悲しい話もあったけど、楽しいおしゃべりもさせてもらってお別れしました。
山小屋で知っている方に会えるのってやっぱりうれしいな。
さて!テント設営が済んだので寝床の準備をば。
テン泊の時はずっと安物のペラペラマットを使っていたのですが、さすがに寝心地が悪いし寒いということで今回思い切って新調してみました。
我が家はオットが寒がりなので「あったかいのがいい!」ということでR値=3.1のこちらをチョイス。でも結構かさばるのと、重量560gというのが気になるところ。
私はもうひとつ薄いのでもいいかも…とお店で散々悩みつつも、結局オットと同じものにしました。
自動膨張式とはいっても栓を開けたら完全にぶお~~~っと膨らむわけではないので、別売りのポンプサックを使って空気を送り込みます。
できた\(^^)/厚さが5cmほどあるのでふかふかです。
破損には十分気を付けなきゃな…。
寝床の準備ができたので、アタックザックを背負って少し出かけます。
↑出発前の謎の小躍り。
烏帽子岳、様子を見てその先の小河内岳まで。
そして帰りに水場に寄って今晩と明日の分の水を汲む予定。
テン場の少し先にあるこの分岐は、今回は右へ。明日は左へ進みます。
小河内小屋の看板だ!以前はなかったなぁ、確か。
登山道の脇にはコバイケイソウの群生が。
でも高橋さんから聞いた通り、見事に完食(T_T)
お花畑の手前まで来ると、塩見岳がどどんと見えてきた!!
少しズーーーム。
相変わらずかっこいいお姿だけど、どこが山頂になるんだろう…。
※翌日登頂後に改めて見たら、左のぼこっとしたところが天狗岩、真ん中の山塊の左側が西峰、少し右のとんがったところが東峰っぽいなと。
分岐を右折して烏帽子方面へ。
お花畑の真ん中を通っていきます。
鹿の食害から植物を守るためにネットが設置されているので、ネット越しにお花たちを眺めながら…
あ、こちらのハクサンフウロはネットの外にはみ出していました(^^ゞ
もう8月も終わりということでお花もほとんど残っていなかったけど、
マツムシソウたちがたくさん見られました。
コバノコゴメグサも。
お花畑を過ぎたら、稜線に出たり森の中に入ったりを繰り返しながらの登り。
木々の切れ間から、右手に小河内岳が見えてきました。お久しぶり!
ハイマツの緑と青空。ここだけ見るとまだまだ夏山といった雰囲気。
森を抜けたところで、歩いてきた道を振り返ってみました。
写真中央の辺りに小さく見えている建物が三伏峠小屋。
ここから見ると左側の崩落地がものすごく恐ろしいですね…。
正面にはどどんと塩見が現れました\(^^)/
さて、写真を見返しているとこの辺りで烏帽子岳山頂に到着しているはずなんだけどなぜか道標の写真がありません。実は今回、私のカメラの調子がすこぶる悪くて…
カメラの電源をOFFにしてもなぜか電源が切れない。それなのにシャッターも切れないし何の操作もできない。仕方がないのでバッテリーをいったん外して入れ直すしかない←これの繰り返し。ネットで見てみると「カメラが熱暴走したのかも」と書いている人がいたけど、この日はそこまで暑くなかったはずなんだけどなぁ…(そういう問題じゃないのかな?今ひとつよくワカラナイ…)
しかもちょくちょく「このSDカードは使用できません」という表示が出て、撮ったはずの写真が保存されてない(T_T)カメラ本体の問題なのかSDカードの問題なのか…
結局翌日に下山するまでカメラの不調は続いたものの、帰宅後にSDカードを別のものに入れ替えたら今のところ普通に使えています。このまま何事もなければいいけど…。
気を取り直して、山の話。
烏帽子岳山頂といえば、9年前に初めて雷鳥と出会ったのがこの場所でした。初めてというよりも「唯一」か!まだほかの場所で雷鳥と会えたことがないのです(;'∀')
今回はどうかというと、雷鳥には会えなかったもののたくさんのホシガラスに会うことができました。
ハイマツからひょっこり顔を出す姿は可愛いし、音もなく滑空しハイマツの実をくわえてスイーッと去っていく姿はすごくかっこよかった!!あんなに何羽も飛び交うホシガラスを見られたのは初めてなんじゃないかなぁ。まさにホシガラス祭り\(^^)/
さて、ここからどうしようか…一応小河内岳を目指してみようか。
ということで烏帽子から先へ少し進んだのですが…
か、風が強すぎる!!(;´Д`)
体が吹っ飛びそうだし(ちょっと大げさだけど)、なんだか眠いし(やる気の問題?)、カメラの調子も悪いしで(精神やわすぎ)、なぜかテンションが上がらず…
今回は小河内岳までは行かないことにしました。あの素晴らしい稜線を再び歩きたかったんだけどなぁ…まあ、またいつか!
※翌日の行程がハードだったので、結果的に一日目に無理しなくてよかったなと後々思った私です。
そうと決まればまずは烏帽子に戻りましょう。ってすぐそこだけども。
この辺りで富士山が見えてきた!
やはり富士山って不思議な魅力がありますよね。見えるとなぜかものすごく嬉しい。
エイ
ヤー!!
オット、元気です\(^^)/
烏帽子にて、トレイルミックスなどをつまみながらしばしのんびり。
すると大きなザックを背負ったご夫婦が小河内岳方面からやってきました。
「縦走ですか?」と尋ねると、椹島から入って赤石、荒川と歩いてきて、このあとは塩見を経て蝙蝠へ抜けるのだと。すごい~~~~。
帰宅後、山地図を広げてまじまじと眺めてしまいました(;'∀')
我が家もいつか5日間くらいかけて南アルプス南部をじっくり歩いてみたいなぁ…。
「いつか」はいつになるんだろう?
9年前にここへ来た時は塩見岳を眺めて「いつか」と思っていたはず。
時間はかかっても、「いつか」が実現するといいなぁ。
ぼちぼちテン場に戻りましょうか。
下りながら柵の向こうの崩落地をちょっと眺めてみる。ぞっとしますねぇ…。
お花畑の横を通るとき、クジャクチョウに通せんぼされました。可愛い(^^)
そうそう、テン場に戻る前に水汲みをせねばなりません。
看板通りに進んでいくと…
水場に到着。
前回来たときは熊よけのラジオが付けられていたけど、今回はなかったなぁ。
最近のこの辺りの熊事情ってどうなんだろう。
さて、水が無事に汲めたらテン場に戻りましょう~~~。
で、いきなりビールを飲むオット(;'∀')
※カメラの調子がすこぶる悪く写真がほとんど残ってない…
私はお酒をほとんど飲まないので、テントの中で昼寝をしたり
孔子暗黒伝を読んだり。
何十回、もしかしたら何百回になるのかな。とにかく何度も読んでいるのに毎回少しずつしか理解が進まない。鳳凰、麒麟出ず、玄武北を守らず、指南車南を指さずして赤気出ず。慈変泰かぁ…。
脳内が「うーむ…」となってきたので、ちょっと早いけど晩御飯にします(;'∀')
軽いもの(物理的に)ばかりで簡単に。
袋ラーメン、ソーセージ、ミックスビーンズ、乾燥野菜、山飯(そのまま食べられるフライドライス)、フライドオニオン、ガーリックスライス、白ごま
すべてをわーっと茹でて、ほんの数分で完成。
山飯は適当にトッピングしたり、残ったスープに入れたりして食べます。美味~。
晩御飯を食べたあと、のんびりしていたら木々の向こうがほんのり染まっていました。また三伏山まで夕焼けを見に行こうかな?とも思ったのですが、なんとなく気が乗らず(今回の私は一体どうしたというのだろう)。
テントの辺りでひたすらだらだらして、暗くなる頃にはまたシュラフに潜り込んだのでした。
塩見アタックの【後編】に続きます。
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