ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

▲鷲ヶ峰(1,798m)・八島湿原【後編】2022年5月10日

長くなってしまいましたが今回で完結です。

 

↓前編・中編はこちら

思いのほか長くなってしまいました(;'∀')あとちょっとで終わりますのでよろしくお付き合いくださいませ。

 

こちらの石碑のあるところでお昼の休憩をさせていただきました。この石もかなり立派なものでして…

〇〇岩などという専門的な名前はわかりませんが「なんだか火山って感じの石だよねぇ…」と話していた私たち。

この日最後に寄ったビジターセンターに八島湿原周辺の歴史がまとめられたパネルがあったのですが、火山活動についても書かれていました。霧ヶ峰八ヶ岳同様火山だったらしく、ドッカンドッカン噴火を繰り返した結果現在の姿になったのだとか。

石碑からゆるゆる下って旧御射山神社の前を通ります。お邪魔しました。またいつか。

ではでは、木道に復帰して駐車場までのんびり戻りましょうか。右側をちらりと見ると

神社に着く前に見た小さな沢がずっと続いていました。案内板の古図には「天龍河源」と書かれていたっけ。鎌ヶ池から続いている流れですね。

遠州地方で育った私たちにとっても天竜川はとても身近なもの。これまであんまり深く考えたことがなかったけど、天竜川にまつわる古代史も調べてみたら面白い発見がたくさんありそうだなぁ。そういえば先日古本屋さんで天白信仰の本を見つけたのですが、目次に伊那谷井伊谷(以前住んでいた所)などの地名を見つけたので即買いしました(;'∀')まだこれから読むところなので楽しみ。

広々とした風景を眺めつつ歩いていきます。まだ茶色で若干寂しい風景ではありますが、静かでとても心地よい時間。

聴こえるのは鳥たちのさえずりばかり… あの頭の黒い可愛いチビちゃんはコガラ?シジュウカラ?ヒガラ?それとも別のカラ?(鳥オンチですみません)

お、向こう側には先程お借りしたお手洗いが。お世話になりましたm(__)m

相変わらず鷲ヶ峰の姿も堂々と見えておりますよ。

人は少なく、たま~に1人、もしくは2人とすれ違う程度。

良い眺めだなぁ…。

…と、おや?鷲ヶ峰の斜面に何やら気になるものが…?

歩きながら「何か黒くて大きいものがあるなぁ」と気になっていたのですが、なんだありゃ??オットに「何かあるよ」と言っても「え?木じゃなくて?」としか返ってこない。撮った写真をあとから拡大してみると…

わっ!!やっぱり石碑だよ!何か彫ってあるぞ、えーと、大…天?元…?わ、わかりません汗

帰宅後に検索してみたらこちらは『大元尊』と彫られているそうです。

大元尊とは造化三神の親柱で、古事記では天之御中主神(アメノミナカヌシ)、日本書紀では国常立(クニトコタチ)。そういえば御射山神社のご祭神はタケミナカタと国常立だと何かで見たような…。(御射山神社自体は何社もあるのですべての神社がそうなのかはわかりませんが)

下社では現在でも9月27日に旧御射山祭を行っているそうなのですが、その時にこちらの石碑前でも大元尊社祭という神事を行うのだそうです。

あの場所って登山ルートからは外れているように見えるから、一般人は入れない場所なのかなぁ…と思ったのですが、調べてみたら「鷲ヶ峰の登り口にある」と書かれています。あれ?あんなところ通ってないけどなぁ…もしかしたら違うルートなのかな?と思いヤマレコを確認してみると、

あ、七島八島のところからすぐ山に登っていく道もあったのか!(私たちは一度湿原近くまで下りてから鷲ヶ峰に登るルートでした)

そして赤矢印の先にある謎マークが石碑なのかな。次回はこっちのルートを通ってみよう。あの巨大な石碑を目の前で見てみたいわ。

そんなこともありつつ、最初の八島ヶ池まで戻ってまいりました。

そして七島八島の看板があるところに帰還。さっき地図で確認したルートはこの正面から伸びている道なんだな。

…今気付いたけど、おそらくこっちがメジャーなルートなんでしょうねきっと(;'∀')前編で書いたけど私たちが歩いたルートはちょっと藪こぎ気味(ほんの数メートルの距離ですが)だったので、「人気のハイキングコースなのになぜ!?」と不思議に思っていたのです…。

さてさてここまで来れば駐車場はすぐそこ。車へ戻る前に、湿原出入口の目の前にあるビジターセンターへ立ち寄ることにしました。八島湿原の自然や歴史について興味深い展示パネルがたくさんあります。スタッフさんに「2階もありますのでどうぞ」とお声がけいただいたので、早速行ってみると…

おお、昔の御射山祭の様子がイラストに!左上には鷲ヶ峰の姿も。面白いな~こんな感じで行われていたのですね。

この古図もいいなぁ。趣のあるタッチで。

ところでこの図の上にちょっと気になることが書かれていまして…。ざっくり言うと「この遺跡は大部分が諏訪市の土地だが下諏訪町が北部の一部に侵入するかたちになっている。そこに山小屋が建てられたがこれは遺跡破壊だ。」といった内容。え…これは諏訪市側がおこということですか?(;'∀')

(このビジターセンターってどちらの自治体になるのかなと思わず調べてしまいましたよ。ちなみに下諏訪町立…。)

もしかしてこの文章も信濃奇勝録に書かれているのかな、と思ったけどこれは江戸時代末期の書物だそうなのでさすがに違うか。ほのぼのとした展示が多い中、ちょっと異質な文章だったのでちょっとドキッとしてしまいました。

その他にも様々な展示が。おお、山のあなたの空遠く… (カール・ブッセ 上田敏訳)

私にとってこの詩といえばやっぱり枝雀さんです。「山のあなた」は何とも言えない独特な雰囲気が漂っていて(個人の感想です)。枝雀さんの楽しく滑稽な口調や身振り手振りももちろん大好きなのですが、どことなく漂う寂しさが何とも言えず味わい深い。尾崎放哉を彷彿とさせるような…。

あっ、そうそうそれでこのパネルは何だったかというと、新田次郎の『続 白い花が好きだ』という本の中で諏訪の風景とこの詩について書かれているのだそうです。うちの本棚にあったっけか…(オットが何冊か持っているけど私はほとんど未読なので把握していないのです…探してみよう)。

鹿やイノシシなど野生動物の骨の展示も。立派なツノがカッコいい。

展示室には一台のテレビが置かれていて、霧ヶ峰周辺を紹介する映像が流されていました。免許証更新の時のビデオ講習スタイルで(例えがあんまりよくないですね、スミマセン)数十分の映像を繰り返し流しているようなのですが、ちょうど先程までいた旧御射山神社が映っていたのでしばし観させていただきました。

この映像の中で「ヤマナシじいさん」というキャラクターが自然や歴史のことを教えてくれるのですが…テレビの前にこんな展示物を見つけまして。

ん?旧御射山のヤマナシの木…?あっ、もしかして!

↑この木のことか!?(中編参照)

次回はもっとちゃんと観察してこよう。ヤマナシじいさん。

思いがけず色々と面白い発見があり、ほくほくしながら一階へ下ります。そうそう、館内にはあちこちにずっと可愛い足跡がつけられていますよ。なんだろう?キツネかな?なんて思いながら辿っていくと…

あららっ、イタチでした!\(^^)/こりゃ失敬。

最後に売店でオリジナル手ぬぐいとバッジを購入。そして名残惜しくも八島湿原を後にして帰路についたのでした。

山も歴史も楽しめた一日。人気の場所だということは聞いていたけれど本当にとても良いところでした。季節が進んで青々としてくる頃も素晴らしいのでしょうね。また必ず遊びにいこうと思います。

長々と書いてしまいましたが、読んでくださりありがとうございましたm(__)m