ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

みみずく土偶たち。

少し前にインスタの方に載せまして、こちらにも載せようと思いつつそのままになっていた写真たち。

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この「もへん」とした人(土偶)。今にも歩き出しそうな…というか閉館後の誰もいない展示室を夜な夜な歩き回っているかもしれないという妄想が捗るフォルム。といっても元からこんな姿というわけではなく両腕は欠損してしまったそうです。どんなふうについていたのかな。

こちらはいつどこで拝見したものかというと、昨年秋に訪れた十日町市博物館の特別展であります。新潟県内外の土偶が大集合して楽しい展示でした。

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手前の札がボケてしまいましたがこちらの土偶は埼玉県久喜市小林八束(おばやしはっそく)1遺跡出土、縄文晩期。

とても味わい深い姿をしていますが、こちらの土偶はなんと人気投票で一位になったそうですよ。埼玉県全体の?それとも所蔵されている施設のかな?と思って更に調べてみたら…

なんと【小林八束1遺跡出土品】の人気投票ですって…!

そんな狭い範囲で成り立つの?と思ったけどよく考えたら〇〇遺跡出土品大集合!という企画展があちこちで催されているからなぁ。以前伺った南アルプス市ふるさと文化伝承館(通称みなでん)の鋳物師屋遺跡展も粒ぞろいですごく良かったし。

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こちらも同じ遺跡出土。埼玉県といえばみみずく土偶ですよね~…ってこんな大きいのもあるの!?しかも中空土偶だ。なんだかウキウキと楽しそうですね。

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こちらも同じ遺跡、そして中空のみみずく土偶。そういえば埼玉の縄文展で顔の付いた注口土器を見ましたが、こんなお顔をしていましたね。

↑こんなのとか(2024月1月、埼玉県立歴史と民俗の博物館にて)。これ面白いですよね、ぱっと見は完全にひょっとこなんだけど「これみみずく土偶の顔なんだ!」というのに気付くともうそれにしか見えない。

 

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十日町市博物館の写真に戻ります。こちらは熊谷市赤城遺跡出土で県指定とのこと。なんだか頭(髪型?髪飾り?)の造形が凝っていますねぇ。

その隣には同じ遺跡出土のこんな土偶も。なんだかものすごい「圧」を感じます…コワ(゜゜)中空のみみずく土偶といってもいろんなものがあるんですね。

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これまでにご紹介した土偶たちは、こんなふうにずらりと並んでいました。ひとつずつお立ち台があってご立派\(^^)/

ちなみに別ケースでVIP待遇を受けていたのは…

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「みみずく土偶」と聞いて真っ先に思い浮かぶような板状のみみずく様。コミカルな表情が可愛いな。

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堂々の重要文化財、埼玉県後谷遺跡出土、縄文後期。

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個人的に一番ツボだったのは横からのアングルでした。な~んか…リアル~~~。当然触ることはできないけど、触った時のざらっとした感触やずしりとくる重さなど、なぜかありありと想像できてしまうこの眺め。もちろん妄想でしかないので実際手にしたら「意外とつるっとしてるな」とか「そんなに重くないんだな」となるかもしれませんね。

今更ですが、そもそもみみずく土偶とは。

顔の表情がみみずく(フクロウの一種)に似ていることからこの名称が付けられています。後・晩期の関東地方を中心に出土し、晩期には大形で中空(空洞)のものも見られます。※解説パネルより

そうか、大きな中空のものはすべて晩期のものなんですね。改めてパネルを見てみると確かにそう書かれていました。ちなみに中空タイプ出現の背景には、東北の遮光器土偶の影響があったのではとも考えられているそうです。

 

新潟県の企画展の話のつもりが、気付いたら埼玉県のみみずく土偶の話になってしまいましたね。振り返ってみると、一番最初に載せた「もへん土偶(勝手に命名)」もみみずく由来なのかな。頭の部分だけ見るとそれっぽく見えなくもないような(かなり簡略化されていますが)。でも顔が全然違うからなぁ。やはり素人が見ると謎ですね。とはいえ専門家の方から見てもわからないことはまだまだたくさんあるのだろうけど。

他の土偶の話もまた改めてぽつぽつと書いていきたいと思います\(^^)/