少し前にお邪魔した、釈迦堂遺跡博物館の企画展「Jomon Collection-韮崎市-」。
韮崎市民俗資料館の他、坂井考古館所蔵の貴重な資料も見られます。そんな見応えたっぷりの企画展も5/26(月)までなのでゆるっと振り返り。
現地へ足を運ぶ前に釈迦堂遺跡博物館の公式Xで拝見して、一番気になっていた土偶がこちら。厳密に言うと土偶付土器なのですが、この後ろ姿よ…!!なんだか人形劇とかちょっと昔のアニメに出てきそうと思ったのは私だけでしょうか。さてこの子はどんな可愛いお顔をしているのかな?と前に回り込んでみると…
?????
顔…顔?眉毛っぽいのは中部高地風の逆富士山なのかな、ってこの見方あってる?
今回のベストオブ「思ってたんと違う」でした。でもなかなか見られないこの愛嬌ある後ろ姿、眼福です。(石之坪遺跡東地区)
可愛いコーラス隊。特に左の子、閉じた目と伏せたまつげのようなものがたまりません。右の子のゆるいフォルムも素敵。(どちらも坂井南遺跡)
ぱっと見た瞬間「なんだかトラっぽいな」と思ったのですがなぜだか自分でもよくわかりません。この顔の文様は爪の痕だそうです。土器にも爪で文様を付けたものがありますよね。伸びた爪を土の塊にぎゅーっと押し当てて…と想像すると「イーーーーッ」てなります。(隠岐殿遺跡)
もへっとした三人衆。真ん中の子は乳房はついているけど他はほぼ真っ平なんですね。全身が残っていたらどんな感じだったんだろう。(石之坪遺跡西地区)
手前の列の左の子、随分リアルな顔をしていてギョッとしてしまいました。このお顔を見てから「漫画家さんかイラストレーターさんか、こういう顔を描く人がいたはずなんだけど誰だったかなぁ…!!」とずっと考えているのですがいまだに思い出せません。(女夫石遺跡)
ふっふっふ… という声が聴こえてきそうなこの笑顔。すごく均整がとれていて「器用な人が作ったんだろうなぁ」と思わずにいられません。しかしこの笑顔、心から楽しくてというよりは何か含みがありそうな…ちょっとフリーザ様みたいな…?いやそれは言い過ぎか、ごめんなさい。(宿尻遺跡)
こんにちはミス石之坪!公式Xでこのお方も展示されているのを見たときに「あれ?4月に韮崎の資料館で拝見したのは実物じゃなくてもしや複製だった?」と少々混乱しましたが、こちらにあるのが複製でした。複製も美しいわね。(石之坪遺跡西地区)
奥のコーナーにも土偶がずらり。
みさかっぱちゃんみたいなちょっと傾いだフォルム(坂井遺跡)。こちらは割れた状態で出土した頭部と胴部を修復して一体の土偶としてあるのですが、なんと現在では「この頭と胴、実は別々の土偶だったんじゃ…??」と考えられているのだそうです。
解説によると、
出土した当時は当然現在のような研究の蓄積は無く、器体表面の質感や色彩、大きさ、同じ地点からの出土等を考慮し、同一個体と推測したと考えられます。
そういえば、みなでんのぴ~すも「これ本当はどっちの腕も上がっていたのでは?」という話がありましたね。考古学研究が進展することによってこのようなこともだんだんと出てくるのでしょうか。
隣の土偶も合わせてプリケツ族ですね。語彙がアホみたいですみません、でもこの時期の土偶によく見られるこのフォルムを素人的に区分するにはプリケツが非常に分かり良いのです…。
と言いつつこちらはプリケツみが弱いものの、井戸尻の始祖女神像を彷彿とさせる佇まい。こちらにも胴部に細か~~~~い模様が。でも始祖女神像と比べると線が踊っているような感じですね。何を表しているのだろうな。(坂井遺跡)
こちら、博物館公式Xにて「水木しげる氏が描いた多邇具久(タニグク)という妖怪にそっくり」と書かれていた土偶。あ!以前ネットで見たことある…!!水木しげるや岡本太郎など土偶からインスピレーションを受けた著名人はたくさんいらっしゃるんだろうな。(坂井遺跡)
つるんとしたお顔の顔面把手。見た瞬間に思わず「バンホーさんじゃん」と子供の頃の記憶が呼び起こされました。
※バンホーさんはドラえもんの映画「のび太と竜の騎士」に出てきた地底人
全体の雰囲気や目の形は中部高地らしいけど、この尖った鼻が面白いのか…。でも良いお顔をされていますよね。(坂井遺跡)
ぽこぽこっと浮き出た二つの顔。五味太郎さんの本でこういう丸い顔が並んだ表紙のものがあったな~…なんて思いながら見ていたら、解説に「有効鍔付土器」とあって華麗な二度見。ほんとだ!!!
有効鍔付土器というと太鼓説や酒造具説がよく聞かれますが、この小さな土器は…一体どのように使われていたんだろう。(坂井遺跡)
そして最後はこちら。出た…容器形土偶…!!
容器形土偶は頭に開口部があり、中から骨が出土した例があることから蔵骨器だったのではと言われています。当ブログでもこちらの記事で触れたことがありました→
ちなみに群馬の博物館では土偶形容器と書かれていたけど、長野では容器形土偶とありました。そしてここ山梨でも容器形土偶…。どちらが正しくてどちらが間違っている、というわけではないのだろうけど時折「あれ?どっちだったっけ?」と分からなくなります。
それにしてもこの表情、とめどなくあふれる悲しみが伝わってくるような気がしてしまうのは蔵骨器という印象に引っ張られてしまっているのかな。もっとのんきなお顔の容器形土偶もありますもんね。でもこの機会にお目にかかれてよかったです。(坂井遺跡)
さて、ここまで土偶について振り返ってみました。万年ド素人のぼんやりとした感想なので、まったく違う印象を持つ方もいらっしゃるかも。
貴重な資料が見られる良い機会なので気になる方はぜひ!こちらの企画展は5/26までです\(^^)/