ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

釈迦堂の韮崎企画展 -土器編-

 

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展示室に入ると早速大型の深鉢がお出迎え。

遠目でしか写真を撮っていませんが、とても細かい文様が施されていました。上の把手は顔?確かもうひとつの神像筒型土器にもこんなウィンク風(個人の感想です)のものが付いていたような。なんにしてもすごい完成度。(石之坪遺跡東地区)

 

お次はなんとも気になるこの土器。ぱっと見「あ、みづちだ」と思ったのですが…あれ?なんだか様子がおかしい。皆さんには何に見えますか?今の私には猫にしか見えません。

私の下手な落書きで表すとこんな感じ。みづち風の胴に三角、丸がくっついて、しっぽのようなものも。

ニャーーン。あれ?形がだいぶ変わってしまった…うまく描けず悔やまれるけどなんとか伝われ~。

でもねぇ、三角と丸は続いているのですよね…この角度ではとても猫には見えません。ちなみに上のぽちっとした突起も気になります。(石之坪遺跡西地区)

 

しっとりとした感じの渦巻きと丸いフォルムがかわいいこちらの土器。よく見ると…

ハハハハハの文様。これはよく「バカ笑い土器」と呼ばれているものでは…。山梨の博物館などで時々お見かけしますが出会えるとちょっと嬉しい土器です。(飯米場遺跡)

ちなみにバカ笑い土器は曽利Ⅴ式とのこと、メモメモ。

 

穴があいてボコボコとしたこの石、似たものを韮崎の資料館でも拝見しました。名前は多孔石、または蜂巣石で「使い方は不明」とのこと。なんだか盃状穴みたいだな… 盃状穴は一応縄文時代からあったと言われ、その後も古墳時代鎌倉時代、さらに江戸時代にも作られ、なんと昭和初期まで作られていたという説も。結局何のためのものなんだかわかってはいないそうですね。そういえば海外にもあるんだっけ。世の中まだまだわからないことだらけですなぁ…。(女夫石遺跡)

 

土偶と同じケースに展示されていたこちらの深鉢。解説によると…

へぇ、土器の文様が土偶のプリケツを表している…とな??

この部分ですね。これは解説がなければ素人では絶対に気付けないポイントです。ちなみにオットは土器と解説を何度も見比べながらずっと「わからない…」とつぶやいていました。(石之坪遺跡西地区)

そういえば、現在読んでいる本に土器の人体表現が変化していった話について書かれていてとても面白かったです。あちこちの考古館で土器に貼りついたプリケツ族をお見かけしますが、それがだんだんと土器に吸収されていって…いや吸収はおかしいか…またちゃんと読み直さなければ。

 

中部高地周辺でお見かけするたびにいつも「どうなってるんだ」とつぶやいてしまうこのタイプの深鉢。塔状把手と呼んでいいのかな。インパクトのある姿です。(女夫石遺跡)

余談ですが、このような塔状把手を持つものは多喜窪型とも呼ばれるそうで…東京都国分寺市の遺跡名に由来するそうですが、分布の中心は八ヶ岳西南麓とのこと。我々素人はこうしたことで簡単に混乱するのですよね。昨日も焼町土器について「名前は塩尻の遺跡名だけど平出博物館ではわりと鳴りを潜めているよね?」と話していたところでした。まだまだ勉強不足であります。

 

こちらも面白い土器。ぱっと見は人体。でも実は違うのかも…?博物館公式Xでは「人だとすると身体部分がほぼ無いのが気になる。結んだ縄を表現したものか?」と書かれていました。真実はわかりませんが色々想像するのもまた楽し。(女夫石遺跡)

 

きれいなぐるぐる。解説には「水煙文土器把手」と書かれていて、そうなんだ…!?と意外に思ったのですが、出展資料に載っていた小さな白黒写真には確かに水煙文っぽい造形がぼんやりと…え、もしかして裏側??私、正面からしか見なかったかも?

しまったーーーーーーーー。

またの機会にと思ったけどこちらは坂井遺跡出土、ということは坂井考古館所蔵?再会のハードルが高いな…。

 

なんだかのほほんとした見た目の台形土器。土器を作る際の台として、ろくろのように使っていたのではと考えられています。二つの孔の使い方はわからないそうです。そういえば以前新潟でもこんな孔の開いた台を見たような…。動かすときに指を入れてヨイショっと持ち上げるのに便利そうだな、と思ったけどサイズ感はどんなんだっけ。(坂井遺跡)

 

個性的なものが多い釣り手土器。遺跡によっては「なんだかおどろおどろしいものばっかりだな…」と感じることもありますが、こちらはシュッとして美しいお姿。灯りに集う当時のムラの人々を想像してしまいますね。(坂井遺跡)

 

そして展示室の中央にどどんと鎮座していた、こちらの獣面把手。うわぁ…猪だ…!!(坂井遺跡)

かなり大きくてインパクトがありましたが、土器も含めた全体像はどのようなものだったんだろう。

台の周りをぐるぐる回って眺めてしまいました。こちらの把手が特別待遇されているのもあるけど、やはり釈迦堂のライティングは神がかっている…!「この部分暗くてよく見えない(泣)」が全然ないのです。ありがとうございます。

 

すべてではありませんが、ひとまず印象的だったものを備忘録的に紹介させていただきました。振り返ってみるとミス石之坪以外は初めて見るものばかりだったな。珍しい資料をたくさん拝見できて良いひと時でした。

釈迦堂遺跡博物館は常設展も本当に素晴らしいので皆さまもぜひ~。