メルヴァー・シティの市警に勤務するしがない貧乏刑事の野坂は、常習犯罪者の五反田じいさんからとてつもない遺産を贈られた。高く結いあげた闇よりも黒い髪、すんなりとした手足と顔がとびぬけて白い、人間としての完璧な外観をそなえた特A級アンドロイド―― それがお雪だった。
お雪の正体は?何のために彼のもとへおくられて来たのか? やがて彼は恐るべき淫靡凄惨な事件に巻き込まれていった…… (あらすじより)
数か月前、某道の駅の古本コーナーでたまたま見つけた一冊。
奥付には昭和48年発行とあるので50年以上前の作品ということになりますが、普段SFものをほとんど読まない私でも続きが気になってぐいぐい読めてしまう面白さでした。このレトロ感あふれる書影も素敵。それに作中に登場する「ダイ」という名のサイボーグ猫がまたいじらしくて…
そうそう、本作にはサイボーグ猫・サイボーグ犬のほかに表題どおりアンドロイドも登場するのですが、ふと「アンドロイドとサイボーグってどう違うんだっけ?」とハテナマークを飛ばしてしまった私。さらっと調べてみた程度ですが、アンドロイドは人間のような外見や振る舞いを持つ機械のことで、サイボーグだと生身の肉体が一部残っているんですね(有機物質と電子部品の組み合わせ)。そういえば諸星大二郎の初期作に出てきたサイボーグのバーテンダーは「事故で体半分吹っ飛んじまったんで」と言っていたっけ。
じゃあアンドロイドは完全に機械だからロボットみたいなものか… と納得しかけた私の脳裏に、どこからか
「ロボットじゃないよ、ア・ン・ド・ロ・イ・ド!」
という声が。これは確か…
『究極超人あ~る』に登場するR・田中一郎氏のセリフでござるな…!!
そうか、この漫画は『アンドロイドお雪』の副読本だったのか(違う)。
さて本作にはロボットも登場しまして、そのうちの一体が深夜酒場に勤めるロボット・バーテン。ごくごく短い場面ですが、このロボットの発するセリフが
「へい、旦那」「もうおやめになったほうがよろしゅうござんすよ…」
で妙な存在感を放っているのがまた味わい深い(個人の感想です)。
あとロボットではなく人間の話ですが、野坂の同僚刑事として登場するマイク・ブラッジョンが
「ブラッジョンでやんす」「さいでやんす」
と電話対応する場面には思わず「ふっふ」と笑いが込み上げてしまいました。近未来のアメリカ設定でこの口調はずるいですって。この作品が書かれた70年代のにおいを感じてなんだかほのぼのとしてしまいました。
以上、読書メモとも言えるほどでもないメモでした。続きはまた改めて_(._.)_