心静かに、瞑想の山へ。
【今回のルート】
▲合計距離 8.53km
▲累積標高差 416m
▲コースタイム 5時間38分(休憩含む)
【いきさつ】
6月下旬、梅雨真っ只中。
とはいえ今年は今のところ雨が少なく、定休日の月曜も晴れ・曇り予報。
せっかくだからどこかへ行こうと考えてみる。
もしガスっても雨に降られても楽しめるところ・・・
というとやっぱり北八ツですよね(;'∀')
※この前日(日曜日)、地元の常連様が「明日有給取ったから北八ツ行こうと思ってて。あそこなら天気悪くても楽しめますもんね」とおっしゃってて、やはりこれはハイカー共通の認識なんだなと改めて感じた次第であります。
麦草峠を出発して雨池を目指すルートは過去2回歩いたことがあるのですが、その時は茶臼山・縞枯山を経由しなかったので今回はその2座も歩くことにしました。
【本編】
当日朝の中央アルプス。清々しい青空です。
この日は暗いうちから起きるのがつらかったので、自宅を朝7時に出発し9時頃歩きはじめるというのんびり計画。
まさかとは思うけど…麦草峠の駐車場満車になってないよね…?
もし満車で停められなかったら白駒池の方に停めて歩けばいいか~時間はちょっとロスするけども。
そんなふうに話しつつ現地に着くと、駐車場は満車ではないものの8割ほど埋まっていました。
私たちが停めたあとも3台ほどの車が来ていたっけ。
ささっと身支度と整え、いざ出発です。
9:00 道路を渡り、茶水の池の脇からスタートします。
苔むした岩や木道がお出迎え。早速北八ツらしい風景。
やさしい木漏れ日とやわらかな苔。
そして今回の山行で一番たくさん見かけたのは、こちらのオサバグサ。
本やネットで何度か見たことがあるので、ぱっと見て「あ、オサバグサだ!」というのは分かったのですが、その次に「こんなに小さい花だったんだ!」と思ったので、おそらく実物を見るのはお初だったんだろうな、私は。(自分のことなのに記憶が曖昧)
ケシ科オサバグサ属
●和名 筬葉草
●花期 5月~7月
●生育地 本州の中部地方以北の亜高山帯の針葉樹林帯に生える多年草。
1属1種からなる日本固有種。
葉の形がシダに似ており、 機織(はたおり)の付属用具の筬(おさ)に似ていることからこの名がついた。
へぇ~と思って筬を検索してしまったわ。なるほど。
大石峠に到着。
過去2回はここからオトギリ平・五辻方面へ行ったのでした。
今回は茶臼山方面を目指すのでここからは未知の領域だわ。
いかにも北八ツな道をぐんぐん登っていきます。
見上げれば青空。
このルートならまぁ雨に降られてもいいや~と思っていたけど、やはり青空が見られると嬉しいものですね。
しばらく森の中を歩いていくと・・・
おおー、開けた場所に出ました\(^^)/
足元はゴツゴツの岩だらけ。
でもその中に見つけました、イワカガミ。
なんだか久々にお目にかかるような気がします。
山登りを始めた頃はイワカガミが大好きで(もちろん今も好きです)、初夏になるとこのお花を見るために山に行こう!といつも計画していました。
相変わらず可愛いお花だ~。
岩に沿って、マイヅルソウも。
そしてまた苔の森へ突入。
茶臼山へ向けてただひたすらの登り。
途中、この辺りでもたくさんのオサバグサと出会いました。
そして茶臼山(2,384m)山頂に到着\(^^)/
話に聞いていたとおり展望のない地味な山頂です。
でもここから西側へ少し進んだところに展望台があるというので、そちらへ寄り道します。
この先に展望台なんてあるの?とつい思ってしまう森の中。
ほんの2~3分歩いていくと・・・
おや、森を抜けたか・・・?
おおーー 突然の大展望!\(^^)/
南八ツのみなさんが見えています。
オットが撮ってくれた一枚。大スケールだな~。
そしてオットの姿もカシャッとな。
二週間前に登った蓼科山も。(手前から数えて3つめのぽっこりした山)
雨量レーダーのある車山と、その手前には八子ヶ峰。
そして足元には赤い岩と土。
専門知識はまったくないのですが、これも火山ならではのもの?
坪庭は噴火によって出来た溶岩台地と言われているけどこれらも溶岩なのかな。
なんだか地球じゃないような不思議な風景だな。
(地球以外の惑星に行ったことはないけどさ)
さて、景色を堪能したら次は縞枯山に向けて歩いていきます。
まず下ってから登り返しですね。
この辺りにもたくさんのオサバグサ。大家族です。
正面、木々の間に縞枯の様子が見えているな~と思ったら・・・
目の前にも。縞枯帯に入りました。
▲縞枯現象とは・・・
山を覆うシラビソやコメツガなどの樹木の一部が縞状に立ち枯れ、数段の白い横縞を作る現象。風、降雨、日射などの自然現象によるものだそうだけど、はっきりとした原因の特定はできていないそうです(現在でも複数の研究機関が研究を続けているとのこと)。
つまり枯れた木の層と生きている木の層とが縞模様を作っているのだけど、これがある周期(100~150年とか100~300年とか言われている)で移動していくのだそうです。
(生きている木が枯れ、代わりに枯れ木が倒木になった後そこから新しい木が生える)
自然のサイクルは神秘的ですね。
※北八ヶ岳ロープウェイのサイトでわかりやすく説明してくださっています↓
縞枯帯は、まるで強い力でなぎ倒されたような木々の風景。
見事にバキバキですね…(*_*)
このあとまた森の中へ戻り、しばらく登っていくと
展望台との分岐に出ました。
高見石のように岩が重なっている、と事前に読んだけどまさにそんな感じ。
岩の上に登って、振り返ってみます。
南八ツと、右のピークがさっき登った茶臼山かな。
この写真だとかなりわかりづらいけど、左端の真ん中あたりに麦草ヒュッテが写っているので、あそこからあの山を越えてここまで歩いてきたんだなぁ…としみじみ。
もっと澄んでいれば向こう側には南アルプスが見えているはず。
頭上はなんだか秋の空のようだなぁ。
さて、展望台から戻ったら再び森の中へ。
コバイケイソウたちがお出迎えしてくれました。
そしてまた縞枯帯へ。
(ドラクエ3のサブタイトルみたいになっちゃったな)
足元にはシカと人の足あと。
北八ツはぬかるんで滑りやすいところが多いので気を付けて歩かねばね。
途中、開けたところを通過しますが…
縞枯山(2,403m)
やはり山頂は展望のない森の中。
でも、ここも茶臼山も展望台が別にあるから十分楽しめますね。
ここから雨池峠までひたすらの下りです。
若干歩きにくいところもあるので写真もほとんど撮らず…
どんどこ下って雨池峠。
分岐を右に折れて雨池方面へ。
ここからは無雪期・冬期合わせて4~5回ほど歩いている私たち。
おや、以前来たときよりも水が多い気がする…と思っていたら、
ややっ、こんな看板が!!
これまでの登山道は旧道になっていて、看板から向かって左に新しい道が作られていました。なんだろう、道が崩れたとか水が出たとか、何かあったのかな。
さようなら旧道・・・今までありがとう。
新しい道にはずっと緑のロープがかけられているので迷う心配はありません。
こんな木の橋も。
大変な整備作業だったかと思いますが…ありがとうございますm(__)m
そして分岐に出ました。
ちなみにこちらが旧道。
ちらっと見ただけだけどすでに笹が茂って歩きにくそう。
ここから雨池方面へはほぼ平坦な林道を行きます。
分岐があったら左へ。
森の中を下っていくと・・・
わ、見えてきた・・・!
まるで鏡のような美しい雨池。お久しゅう。
池への出入り口のところに良い雰囲気の砂浜があっていつもそこで写真を撮るのですが、今回はちょうど先客さんがいらっしゃったので別の場所から池まで下りることにしました。
うわーーーー 素晴らしい眺め。
ここ雨池は、名前の通り雨水が溜まってできた「雨の池」。
そのため天候によっては干上がってしまうこともあるんだとか。
私はまだ幸いにもそういう雨池は見たことがないな…。
そうそう、帰宅後になんとなくHutteのバックナンバー「北八ヶ岳 物語のある森へ。」を本棚から取り出して眺めていたのですが、その中には雨池についての話も。
なんでも、縞枯山荘のお客さんが作ってくれた「縞枯の歌」という歌の中に『乙女の涙か、雨池は』という歌詞があるんだそうです。
なんとロマンチックな、ということでKIKIさんたち取材陣が雨池へ向かったところ、ひどい猛暑のために雨池は干上がってしまっていたんだとか…。
小屋に戻りご主人にそう報告すると「それはいいね、涙に暮れているよりずっといいじゃない」と言われたそう。
そういう見方もあるのね('ω')さすが山小屋のご主人。
この本にはもうひとつ雨池に関する伝説も載っていまして。
昔々、浅間山にでえらん坊という巨人が棲んでいた。
ある時でえらん坊は八ヶ岳全体を支配下に置こうと攻め込んできたが、八ヶ岳の神様と富士山の神様が力を合わせてでえらん坊の侵入を食い止めた。
その戦いの中、でえらん坊が山々につけた足あとが雨池や双子池、白駒池になった。
そして戦いで神様も傷を負ってしまい、その血が地上に落ちて赤黒い花を咲かせる黒百合となり、今の黒百合平ができた。
でえらん坊というのはダイダラボッチ(デエダラボッチ)だったのかな。
全国的にそういう伝説が残っていて面白いですよね。
私の地元の浜名湖もダイダラボッチの手形と言われていたっけか。
そんな伝説のある雨池の周りをトコトコ歩き・・・
良きところでお昼ごはんにします。
さてと・・・
個人的に「雨池といえばホットサンド」という思い出がありまして。
(10年近く前だったか、友人と一緒にここへ来た時にもホットサンドを作ったのです。)
今回もそうしてみました(^^)
そういえばこのホットサンドメーカー、その頃からずっと使ってるなぁ。
安物なのでそんなに軽いわけではないのですが、ゆるい日帰りハイクだったらまぁ持っていけるかなといった程度。
キャベツを敷き、昨夜スーパーで買ったメンチカツをのせ、
ポテサラドーーーン。
更にキャベツをのせたり、勢いで持ってきたタルタルソースをかけたりなんかして、
ぎゅーーーっと閉じて焼きます。
焼き上がるのを待つ間、お湯を沸かしてカップスープをば。
うまい~。
もうちょっと時間がかかりそうなので、二つめのホットサンドの仕込みに取り掛かります。二つめも食事系のホットサンドにする予定でいたのですが、スーパーのお菓子売り場をウロウロしていた時に「チョコバナナサンドって絶対美味しいよね…」とふと思いついてしまったのでした。
バナナをスライスしてパンに並べ、板チョコ1/2個をパキパキと割ってのせます。
更に… メンチカツのホットサンドに入れるつもりで持ってきたスライスチーズをこちらにのせてみます。合うかなぁ??
そんなことをしているうちにメンチカツポテサラホットサンドが焼けました!
うーーまーーーいーーー。
強いて言えばソースがあればよかったな…(すっかり忘れてた)。
でも十分美味!!
そしてもうひとつ、チョコバナナチーズサンドも焼けました\(^^)/
これはもう美味しくないわけがない…!!!
バナナがアツアツとろとろでチョコとの相性は言わずもがな。
そしてチーズが意外と違和感がない。
言われなきゃ入ってることに気づかないくらい…(;'∀')
そういえば、10年ほど前に友人とここでホットサンドを作ったときも「あんこチーズサンド」という甘いものとチーズの組み合わせをやったような気が。その時も確か余ったチーズを勢いで入れたんじゃなかったかな。
あれも意外と相性が良くて美味しかったな~~。
やっぱり山で食べるホットサンドは格別だな。
お腹がすっかり満たされたら、そろそろ行きましょうか。
いつもはこのまま南下するところですが、今回は池の周りをぐるっと歩き、反対側の登山道を行く予定。
青空が映り込んで、本当にきれい。
緑も鮮やかに。
雲もダイナミック。
何度も立ち止まって見とれてしまう。
こんなに素晴らしい池のほとりだけど、足元には注意が必要(;'∀')
大小さまざまな岩が重なる場所をひたすら歩いていきます。
平らな岩が続くところはヒョイヒョイと行けるけど変な形の岩が続くと戸惑ってしまう私。
ああ、でも対岸の新緑があまりに鮮やかで励まされます。
なんとやさしい色なんでしょうね。
森への入り口へ到着しました。
雨池との別れを名残惜しく思いつつ、岩々ゾーンが終わったことにほっとして歩いていきます。
森を過ぎたら先ほど歩いてきた林道と合流。
そして再び森の中へ。
この辺りは過去に二度歩いているはずだけど、こんなに笹がわさわさしていたっけか。
また、北八ツらしい森も。
曇りがちだったけど時折やわらかな木漏れ日が。
明るくなると嬉しくなってついカメラを構えてしまう。
今日の山行の終わりが近づいています。
もうちょっとここに居たいという気持ちもあるけど、無事下山するとそれはそれでほっとする。毎回そんな感じ。
…あ、でも「早く駐車場に着かないかな~~~」と思うことの方が多いわ、私(;'∀')
北八ツではいつもぬかるみでドロドロになるので「今日は汚さないように気を付けるぞ!」と思っていたけどやはり多少は汚れますよね… まぁいつもよりマシかな。
ルンルン気分の木道ゾーンもやがて終わり…
最後に茶水の池を渡ったら…
14:46 麦草峠の駐車場に到着しました\(^^)/
久しぶりの北八ツのんびりハイク。
今回は未登頂だった二つの山にも登れたし、雨池にも行けたし、美味しいものも食べて充実の山行でした。
ところで途中で書いたHutteのバックナンバーに、こんな文章が。
むかし、北八ヶ岳を愛したある作家は、その魅力を“瞑想的な山”という言葉で表現しました。深い針葉樹におおわれた静かな森。足元をそっと包むみずみずしい苔のじゅうたん。
そして森の中に、ぽつん、ぽつんとある愛らしい池。
人の心を静め、豊かにしてくれるおおらかな森。
山頂だけを目指し、競うように歩く山に疲れたら、北八ヶ岳の森を歩いてみませんか。
…この作家さんというのは、前のページに書かれている山口耀久さんのことなのかな。
北八ツでは、なんじまでにあの峠について、なんじまでにあの頂を出発しなければならないというような、時間にしばられた歩きかたはしない。
(中略)
おもいでの質量というものは、歩いた距離にばかり比例するものではないということを、この山地の気ままな山歩きが教えてくれたからだ。
(山口耀久『北八ツ彷徨・瞑想八ヶ岳』より)
やっぱり北八ツは、何度でも足を運びたくなる不思議な魅力がありますね。
おまけ。
またまた道の駅でソフトクリーム。
やっぱり山から下りたら食べたくなるんですよねぇ。
とっても美味でした(^^)