憧れの風景に会いに。
今回のルート
【1日目】新穂高登山者用P(P5)~小池新道~双六小屋~双六岳山頂~双六小屋(テント泊)
【2日目】双六小屋~樅沢岳~双六小屋~小池新道~新穂高登山者用P(P5)
▲合計距離 32.9km
▲累積標高差 3,315m
いきさつ
3日間のお休みをいただいて、せっかくだから2泊3日の山行に行こうとあれこれ計画を練っていました。お花真っ盛りの朝日岳~雪倉岳~白馬岳が第一候補だったのですが、今年は残雪が多く危険な箇所もあるとのこと…。
それならばと次に考えたのが、7月に燕岳から眺めた鷲羽岳・三俣蓮華岳・双六岳方面。こちらは危険箇所もなくお花畑もにぎやかとのこと。
ならば贅沢に双六小屋のテン場で連泊して、2日目に三俣蓮華岳と鷲羽岳のピークを踏んで(CTはざっと8時間半)、3日目は下山だけにすれば無理なく行ってこられるな~。
あとは天気予報次第。実は当初3日間ともぼちぼちのお天気だったのに、直前になって2日目以降に雨マークが。どうやら熱低が出来てしまって今後台風になるのでは…という予報。台風自体は遠くにいても雨や暴風などの影響を受けるのでこれは慎重に行動したいところ。
特に今回歩くルートは沢沿いなので、水量が増えると渡渉するのに難儀なポイントが数ヵ所あるそうなのです。過去の山行記録などを探してみると確かにこれは危なそう…!(;´Д`)←ただでさえ渡渉が苦手
というわけで気持ちの面ではあっさり「1泊2日にして雨に降られる前に下山しよう。天気によっては2日目の早朝に三俣蓮華岳まで足を延ばすかもしれないけど最悪双六岳だけピーク踏めればいいや。」ということに。それでも一応心の片隅で「現地でも予報をチェックして、問題なさそうだったら計画通り2泊3日にするかも」という希望をちらりと残しつつ…。
あと気がかりなのは駐車場争奪戦問題。中アや南アでは考えたことのない問題ですよ…。前回の燕岳でもそうでしたが、北アルプスの超人気山域では「まず駐車場に入れるかどうか」が山行に大きく影響するそうで。(しかも燕岳の中房と新穂高が2トップらしいですね…)
現地までは自宅から2時間ちょっとなので当日早朝に着くように出発するつもり。でもハイシーズンは夜中(早ければ夕方)には前泊組の車で埋まってしまうとのこと。狙っている無料P(P5)がいっぱいなら鍋平無料Pまで上がれば平日なら停められるだろうけど、往復1時間強のタイムロス…。有料Pもあるけど現在使えるところはなかなか高額になるのと24時間開放ではないので登山向きじゃない…
そんなこんなで、オットは「天気」、私は「駐車場」について非常に不安に思いつつ、初めての山域に向けて出発したのでした。
本編
前置きが長くなりすみません。
当日午前2時過ぎに自宅を出発、そして4時半頃に現地へ着いたのですが…
な、なんとかP5に無事停められました!!(歓喜)
前回の中房第1Pの時はまだまだ余裕といった具合でしたが、今回はさすがにそこまでではなくて、ほんの数台分ちょこっとだけ空いていたかなという感じ。確か150台くらいは停められるという広い駐車場なのに…しかも平日…北ア恐るべし。
近くにあった仮設トイレを借り、身支度を整えます。
5:02 ぼちぼち出発\(^^)/
P5から10分ほど歩くと、有料Pの向こうに新穂高センターという観光案内所が見えてきました。
ここが槍・穂高方面との分岐になっているんですね。私たちは双六岳へ向かうので左へ。
おお、山が。ネットで見たマップだと笠ヶ岳、抜戸岳、双六岳の辺りが見えているそうだけどどれがどれかは自信がありません…
左俣林道をテクテクと。このコース、最初の1時間ほどは林道歩きなのですよね。歩きやすいといえば歩きやすいんだけど、実は私この林道歩きが非常に苦手なのです…。越百山や鳥倉林道、八ヶ岳の桜平でもそうだったけど、ほぼ平坦な道だとなぜか歩くのが遅くて(登りに差し掛かるとようやく調子が出る)。
ようやく登山口!でもまだまだ続く舗装路…。
数か月ぶりのテン泊装備ということもあるし、無理せずゆっくりいこう。
途中にあったお助け風という名の風穴。前に立つとひんやりとした風が!まだ歩き始めだけど生き返る~。
どうどうと流れる沢を眺めながら歩いていきます。
笠ヶ岳との分岐。ここからあの笠新道が始まるのね…。のっけから大変そうな道に見えたけど、いつか私たちも歩くことがあるのかなぁ。※写真を撮りそびれたけど水場もありました。
6:35 わさび平小屋に到着しました。
たくさんの方が休憩されている中、私たちもザックを下ろしておにぎりタイム。
すぐ近くには黄色いホトトギスが咲いていました。
さて、まだまだ先は長い。出発しよう。
小屋を過ぎてからもしばらく林道歩きでしたが、早速渡渉ポイントが現れました。↑他の方からすればこんなの屁でもないかと思うのですが、私にとっては「うへぇ」なのです。でもここだって増水したらかなり危ないんじゃないかしら。
そうこうしているうちにようやく小池新道の入り口までやってきました。
長かった林道歩きが終わり、ようやく登山道だ~。↑それにしてもなんて可愛い看板なんだろう。今後新しい看板を作るときの参考にしたいな。
沢沿いの道をテクテクと。そうそう最近オットがテン泊用のザックを新調しまして。
これまで使っていたのはファウデの60L、今回新しくカリマーのクーガー70-95Lを入手したようです。…といっても実は中古品でして、ネットでお安くゲットしたそうですよ。使い心地は悪くないしやはり容量が大きいからたくさん入る!とのこと。ただフィット感は元々使っているファウデの方が好みだとか。山行によって使い分け必須ですな。
ほぼ平坦な林道から登りの道に入ったわけですが、これがまた歩きやすいのなんの!!ひたすら石の上を歩くのですがものすごくちょうどいい段差で出来ているのです。
小池新道は、1955年に双六小屋の経営者だった小池義清さん達により開かれた道なのだそう。ありがたや、ありがたや…。
平坦な道でなぜかヘロヘロだった私、登りになってようやく元気が出てきました。とはいえ双六小屋までの標準CTはおよそ7時間30。なかなか長い行程になるのでこまめに休憩を取らねばね。途中で雪渓の見える良い場所を見つけたのですかさずおにぎりタイム。
休憩を終え更に進んでいくと、秩父沢に出ました。
木の橋がかけられた大きな沢です。
たくさんの方が休憩されていてなんだか和む風景です。
でも増水時に私が一番心配だったのがこの場所。他の方の山行記録で、大変な水量の中をロープにつかまりながら渡渉している写真があって「…無理!!」と思ったのでした(;´Д`)今回は無事に行き来ができてよかった~。
それにしても、この大きな沢の風景はなんだか雨飾山を彷彿とさせますね。また機会があったら登りに行きたいな。
その後も登山道に水が流れている箇所がありましたが問題なく通過。
引き続き小池新道を歩いていきます。ネットやガイドブックなどを見ると一応「急登」と書いてあるのですが「え?急登なんてあった?」というくらいそれを感じさせません。歩きやすくて本当に助かります。
この辺りまで来ると植生が変わり、お花がだいぶ増えてきました。
おお、ここにもサンカヨウが!!すっかり実になっているけど出会えると嬉しい植物です。それにしても、普段こういう形の葉っぱを見つけると「サンカヨウかな?それともカニコウモリかな?見分けがつかないわ~」なんて言っておりますが、夏頃になるとサンカヨウの葉っぱってものすごく大きくなっていますよね。いつも初夏頃のイメージなのでとてもびっくりします。これなら一目瞭然ですわ。
黄色いお花たちについては雑な覚え方をしているので参考にならずすみません。これはきっとキンポウゲ。
これは…あっ、オットが調べていました。「オオバミゾホオズキじゃないかな」とのこと。
そしてそして、今回一番お会いしたかったのがこちらのキヌガサソウ!
これまで写真でしか見たことがなくて「なんだか存在感のある姿だなぁ」とずっと気になっていたのです。見つけた瞬間思わず「あっ、あった!!」と小さく叫んでしまいました。
お花も可憐ですがこの葉っぱよ…一目見たら忘れられないインパクトですね。またどこかでお会いできますように。
わー、マイヅルソウのお花も残ってる!葉っぱや実を見ることが多いのでお花が見られると嬉しいな。
シシウドヶ原に着きました。ベンチがいくつか置かれていて、ちょうど良い休憩場所になっています。でもベンチが全部埋まってるな~…端っこの石にでも腰かけて休憩しようかなと思ってウロウロしていたら、近くにいた方が「私たちもう行くからここに座って!」と声をかけてくださいました。
座ってみると目の前は絶景\(^^)/良い場所を譲っていただきました。ありがとうございます!
さて、ここからもうひと登りで鏡平山荘に着くのですが…ちょうど近くにいた女性グループが「鏡平のかき氷がね…」と話しているのが聞こえてきました。それを耳ダンボで聞いていた私。そうだ、情報収集していた時に「鏡平山荘のかき氷が美味しい」とネットで見たんだった!!
オットに「鏡平に着いたらかき氷を食べるよ!」と宣言をし、山荘に向けて歩き始めたのでした。
ちらほらとカラマツソウの姿。繊細で可愛い。
あ、あれはニッコウキスゲ!?ここでも見られるなんて嬉しいな~。
こちらはマルバダケブキかな。いまだにこのお花を見ると南アルプスを思い出してしまう(もちろん他の山域にもたくさんあるんだけどね)。
お花に癒されながら登っていくと…
木道になりました。実はこの木道の脇には、
キヌガサソウがたくさん…!!
おおーすごい光景だ!!うまく写せなかったけど、咲き始めはピンクというか紫っぽい色味のようでした。時間が経つと白くなるのかな?(それともただの個体差?)いやぁ感激感激。
そうこうしているうちに鏡平まであと500mの地点まで来ました。この日は曇りがちだったから陽射しはあまりきつくなかったけど、それでも暑い、暑すぎる(;´Д`)脳内では「かっき氷!!かっき氷!!」というコールが鳴り響いていました。
かき氷が楽しみすぎてお花の写真を撮る気力も少し失せつつ…
あ、イワカガミだ(やっぱり撮っちゃう)。
おお、鏡池に着いた。
晴れていれば槍が見えるんでしたっけ?この日はガスガス真っ白で展望なし。でも池は神秘的で美しかったです。
そして池の先には、鏡平山荘が!ザックを下ろして注文口に直行!
そして夢のご対面!\(^^)/
オットはみぞれ、私はいちご。+50円(だったかな?)で練乳がけにしていただきました。味はもちろん美味しい…いや美味しすぎて…「うま~、うま~、本当にうま~」と完全に語彙力を失っておりました。隣のテーブルにいらした方に「あら美味しそう」と言われても「エヘヘ…」としか言えなかった私(大丈夫か?)。
生き返るとはこのことかと実感しつつ、双六小屋へ向けて再び歩き始めた私たちでした。ごちそうさまでした~。周りにはカレーやラーメンを注文している人も多かったなぁ。あったかい食べ物もすごく美味しそうでした。
ゴゼンタチバナもたくさん見かけるようになってきましたよ。可憐なお姿ですね。
行く先を見上げてみると…弓折乗越へ続く登りが見えてきました。
登る人、そして下りてくる人の姿が見えます。あの辺りキツそうだなぁ…でも焦らず一歩一歩だ。
ふと振り返ると先程通過した鏡池が見えていました。上からの眺めもまたきれいだなぁ。
足元にはたくさんのチングルマ。
そして山肌には…あの黄色いのはニッコウキスゲかな?遠くてよくわからなかったけどあのお花の大きさはおそらくそうですよね。
谷側には残雪も。
これはミヤマダイコンソウかな?と思ったけどミヤマキンバイの方か?(やっぱり覚え方が雑)
さっき食べたかき氷で気力も体力も回復したはずなんだけど、この辺りまで来るとだいぶ疲れが…。立ち止まって景色を眺めながら息を整えます。
鏡池や鏡平山荘を見下ろしつつ。
緑の中にグンナイフウロ発見。
そしてふと顔を上げると…あっ、何か看板らしきものが!
最後にひと登りして…
弓折岳との分岐に到着しました~。
本格的な登りはひと段落、ここから小屋までは稜線歩きとのこと。少しほっとする瞬間です。
稜線上にはお花畑もあるそうですが、分岐のすぐ上から既に花爛漫…!ハクサンイチゲやシナノキンバイ。
イワカガミ。
あら、ダイモンジソウも!
さっきの分岐から全然進んでない(;'∀')
クルマユリ…でいいのかな?コオニユリ?そうか、クルマユリは葉が輪生するそうなのでこれは多分クルマユリ(葉っぱももっとしっかり撮っておけばよかった)。
この風車みたいなのはエゾシオガマでしたっけ。
ピンクが可愛いシモツケソウ。
あ、上の写真にも虫がばっちり写っていますが、シシウドヶ原の辺りから虫よけネットを被った人を多く見かけました。今年は特にあちこちの山域で虫が大発生していたらしく、餓鬼岳では目の周りを刺されて視界不良からの遭難騒ぎになってしまった方も(山慣れしている方だったようでビバークの後に自力下山されたそうで本当に良かったですね;;)。
私たちも虫よけネットは一応持ってきていたので、オットは途中から被って歩いていました。私もザックから取り出してみたんだけど…私が持ってきていたのは白いネットで、実際に被ってみると視界が悪くなりとても歩きにくい!(;´Д`)ちなみにワー〇マンでたまたま見かけて購入したものでして、おそらく農作業やキャンプなど足場の悪くない安全な場所で使うならバッチリなんだろうな。標高の高い稜線で使うにはちょっと、ということで結局使わずじまいでした(決して物自体が悪いわけではなく用途の問題)。
私も黒いネットを来シーズンまでに入手しよう…。
あ、それと!「おにやんま君」を付けている方も結構いらっしゃいますね。オニヤンマなどのトンボは肉食で小さな虫たち(スズメバチも食べるんだとか?)を捕食するので、リアルなトンボ型ブローチをしているとアブやハチなど不快な虫が寄ってこなくなるという画期的な虫よけ商品なんですよね。
話題になっているのは去年か一昨年頃からでしたっけ?あまりの人気で品薄状態のときは自作する人も多かったとか(最近はどうなんだろう)。
結構効果があると聞くのでこういうのもどんどん導入していけばいいんだよな…と今更ながら思いました。
ガスっていたけど双六小屋へ向けて歩いていく間は西側の山が見えていました。登山道のないところだから無名の山なのかな。どっしりとした良い佇まいですね。
これは多分北側を撮ったもの…だと思うので(記憶が曖昧)、鷲羽岳が見えているんだな。
足元はずっと花盛り。
お花があるとついつい写真を撮ってしまうので、先行者さんとの間が少しずつ空いていく(;'∀')
ハクサンフウロ可愛いな~。
おお、前方に残雪が。
今回実際に歩いた残雪はここだけでした。平坦だし距離も短いので楽々通過。
残雪の先には… わぁ!お花畑だ!!
コバイケイソウや小さいお花たちがたくさん。手前の白いのはよく見かけるセリ科の何かかなぁ(よく見かけるわりにちゃんと調べたことがない)。
花見平という場所なんですね。どおりで。
タテヤマリンドウかなぁ。リンドウも同定が難しいお花だと言われますよね。
この辺りのチングルマはすっかり穂になっています。
ヨツバシオガマ…だと思うけど、あれ?葉っぱが5枚ある?本で改めて調べてみたら、ヨツバといっても必ず4枚というわけではなく3~5枚なんですってね。へぇ~(゜゜)
あっ、この可愛い葉っぱは…!!確か去年三伏峠からの下りで見たなぁ。記憶を辿ると「クロクモソウ」だ。多分そうだと思うけど違っていたらスミマセン。
左手にはどっしりとした山塊が…あれが双六岳の山頂方面になるのかな。
そして正面には… おおー!双六小屋と鷲羽岳が見えてきたー!!\(^^)/
この風景が見てみたかったのです。感激…!!
小屋までの道中にもたくさんのお花。特にクロユリの群生が見事でした。ちょうど近くにいらした男性が「僕は三俣蓮華岳の方から来たんだけど、あっちではクロユリ全然見れませんでしたよ~」とおっしゃっていました。そうなんだ、ならばここでたくさん眺めておこう。
さあいよいよ小屋が近づいてきました。テントはまばらですね。まだこれから増えるんだろうな。
13:15 双六小屋に到着です。
休憩をちょこちょこ取りつつここまで8時間ちょっと。行動時間で考えるとちょうどコースタイムくらいでしょうか。テン泊装備で無理をすると後々キツくなるからこのくらいがベストなのだ…と、体力無し女の遠吠えでございます(;'∀')
というかお花を眺めてウロウロしている時間が長すぎるんですよね…明らかに稜線に出てからペース落ちたし。まぁそれも山の楽しみ方だからいっか。
受付を済ませてテン場へ。テントをどこに張るか問題、悩みますよねぇ。下まで行くとトイレが面倒だし、あんまり上でも人の行き来が気になるし。周りのテントともある程度距離を取りたいし。ウロウロしましたが、最終的に中央よりやや西側に陣取ることにしました。
設営している時、登りの道中で何度か顔を合わせていたご夫婦が到着されたので「お疲れ様でした~」と少し言葉を交わしたのですが、そのご夫婦も「どこに張ろうかな…」と長い時間悩まれていました。わかります、その気持ち(;'∀')
実はこのあと、そのご夫婦が「これから一緒に双六岳の山頂まで行きませんか?」と声をかけてくださいまして。素直に嬉しかったのですが、ガスっていて真っ白だったし雨予報も出ていたことから「山頂は明日にする?どうする?」とちょうどオットと話していたところだったのです。
ひとまずご夫婦とは一緒に出発せず(せっかく誘っていただいたのに申し訳ない…)、トイレに行ったり水を汲んだり、小屋周辺からの景色を眺めて過ごしていました。
山荘前にはこんな案内板が。
おお、鷲羽岳の後ろにちらりと水晶岳が…!北アルプスがどんなところかよく分かっていない頃から「鷲羽・水晶」という言葉がずっと気になっていたのです。いつか行ってみたい場所のひとつ。
2週間前に登った燕岳も見えます。
…でも、どれだかよくわからず(・・;)右のギリギリ見えてる山かな?と思っていたけどもしかしたら左の山?
なんて周りの山を眺めながらあーだこーだ言っていましたが…あれ?よくよく見たらさっきより晴れ間が増えて山がよく見えてきてるんじゃない?
これは…山頂まで行ってきちゃおうか!?
そうと決まれば早く出発しなきゃ。山頂までは約一時間、雨に降られる前にテン場へ戻りたい。
サンダルから登山靴へ履き替え、アタックザックに飲み物やレインウェアなどを詰め込み、急いで出発。
身軽になると体がふわふわ~。
どっしりとした鷲羽岳の姿。当初はあそこまで行く計画を立てていたけど…雨予報の上に熱低の出現でもうすっかり「2日目は早々に下山だな」という気持ちになっていた私たちでした。
分岐がありました。双六岳山頂を目指すので左へ。
ふと見上げると尖った岩が雷鳥さんに見えてドキッとしました。10年前の烏帽子岳(南ア)以来全然会えないなぁ…。
だいぶゴツゴツの急登になってきました。
でもお花も多くて癒されます。ミヤマダイコンソウ?
鷲羽岳の姿があまりにカッコよくて何度も振り返ってしまう。
視線を少し東側に移すと、白く輝く山が。あそこが野口五郎岳なのかな。名前はとても有名だけどあんなに美しい姿だったとは…!
急登が終わると道が平らになりました。ここまでわりとハイペースに歩いてきたので、声をかけてくださったご夫婦に追いついた~!ゼエゼエ
どうやらご夫婦と他にもお二人同行されている様子。そのうちのお一人も、登りの道中で何度も顔を合わせた方でした。まったく知らない者同士でも山ではすぐに仲間意識が芽生えてしまうから面白いですよね。
それにしても、この平らな台地…もしや、ここがかの有名な
天空の滑走路・・・!?
・・・・・・・( ゚Д゚)
まっっっしろっ・・・・・・・
あの絶景、見れず・・・ガッデム!!!
※一本道の向こうに槍がどどんと聳える、双六岳を代表する眺めです。ご存知でない方はぜひ検索してみてくださいm(__)m
みんなで「見えないね…」と呟きながら、一瞬でもガスが晴れることを祈って真っ白い空間をしばし眺めていました。でも結局槍が見えることはなく「これは『また来い』ってことだね~」という結論に。うむ、また絶対来なければ。
「じゃあ山頂に行きましょうか」と後方を指さしたご夫婦。あっそうかまだここ山頂じゃなかったっけ!(完全に天空の滑走路が目的になっていました)
この辺りまで来ると山の見え方がまた違いますね。写真の一番左に移っているのが水晶岳だったっけ(色々記憶が曖昧)。
そこから更に左…そうそう、あの山、肉眼で見ていても白く輝いて目立っていました。あれはどこになるんだろう?とオットと話していたら、同行していた内のお一人が「あれは赤牛の辺りじゃないかなぁ」と教えてくださいました。
おお、あれが赤牛岳!!実は秘かに気になっている山なのです。
数年前、とある山好き女性二人組のお客様にご来店いただいたことがありました。「北アルプスが好きでほとんど歩き尽くしてしまった」とおっしゃる二人に「まだ登ってない山はあるんですか?」と尋ねた時に返ってきたのが赤牛岳の名だったのです。
「赤牛はまだ行ってないよね、ずっと眺めてばかりだったから今年は行きたいね」と話されているのを聞きながら「赤牛…?どこだ…?」とアホ面をしていた北アルプスオンチの私でした。
その後地図をチェックして「ここかぁ」というのはわかったものの、ようやく今回そのお姿を拝むことができたのでした。
赤牛岳もいつか行ける機会があれば嬉しいな…と思いつつまずは目の前の双六岳ですよ!無事登頂いたしました\(^^)/
あちらへ行くと三俣蓮華岳なのね。
少し山頂周辺をウロウロしましたが見事に何も見えず、更に風が出てきたので早々に撤退しました。
下りも虚無だった、天空の滑走路…。
次回来るときは絶景を見られますように。
みんなでぞろぞろと下山。そろそろ晩ごはんの時間なので山荘前でお別れしました(その後またテン場でもお話ししたけど^^;)。誘ってくれたご夫婦、そしてソロのお二人も「山ではこういう出会いが楽しいんですよね~」と爽やかな笑顔。またどこかの山でお会いできたらいいな。
17時過ぎ、ちょうどよくお腹が空いてきたので早速晩ごはんです。
パスタとガーリックスープの予定でしたが、お昼のおにぎりが2つ余っていたのでこれも片付けちゃおう!ということで、メスティンにおにぎり、乾燥野菜、切り干し大根を放り込んで少しぐつぐつ。ここにガーリックスープ(フリーズドライ)を入れて雑炊に。見た目は全然映えていないけど美味でした!
そうそう、ごはんを作りながらオットの希望で持ってきていた魚肉ソーセージをむしゃむしゃと。こういうソーセージって金属で留めてあるので、歯でギリギリ開けるときにガルバニー電流なのか「キイィン」となった嫌な思い出があるのですよ… だからこれまで敬遠してたのですが、最近は金属がなくなってすごく開けやすくなったんですね!毎回持っていくようにしよう\(^^)/
おにぎり雑炊とギョニソも食べたけど、お腹にはまだまだ入るので予定通りパスタもいただきます。パッケージは外して中身だけ持参。沸かしたお湯にパスタと粉末ソースをすべて放り込んで数分ぐつぐつ。
…なぜうちのテン泊めしは美味しく見えないんだろう?(一応飲食店経営者…)味はちゃんと美味しかったのでヨシ!ごちそうさまでした~\(^^)/
晩ごはんを食べ終え、一息ついたところでパラパラと雨が降り始めました。ナイスなタイミング。でも寝る前に歯磨きとトイレに行かなきゃな…雨が止むまで待とうかな。
でも逆に雨が降っている間はみんなテント内で過ごしているだろうから、今トイレに行けば空いてるかも。そう思い、傘をさして外に出てみました。
幸いにも雨は弱く、傘がなくても何とか大丈夫なくらい。山荘前からの眺めがなんだか幻想的でした。
ほんのりと染まるテン場。私が戻る頃には雨が止んで少し明るくなっていました。
このあとはもう寝るだけなのでシュラフに潜り込んだのですが、夜にも少し降っていたようでパタパタと雨音が聞こえていました。
さて、翌日はどうしようかな…気持ちはもう1泊2日で切り上げて下山するつもり。ただ、朝のうちにもう一度双六岳山頂に行きたい気はする。
でもオットは「双六じゃなくてさ、西鎌尾根方面の樅沢岳の方に行ってみたいなぁ」と…。うむ、翌日朝の天候を見て決めよう。
ではではおやすみなさい…(+_+)
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