絶景の朝を迎えた2日目のお話。
前編はこちら
2日目の朝、3時台にもぞもぞ起きだしてテントから顔を出すと…外はガスガス。
この日の行動予定としては、早めに下山することだけは決めていたけど朝のうちに双六岳山頂か樅沢岳のどちらかには行こうかと思っていました。
でも、こうも真っ白だと気力が湧かないね~…とか何とかぶつくさ言いながら、テント内で朝ごはんをむしゃむしゃと(2年ほど前にモンベルで購入したリゾッタをようやく食べました)。
4:29 トイレに行きがてら山荘の前から景色を眺めます。
すぐ近くの岩に鳥さんがやってきました。標高の高い場所でこのサイズの子が来るとすべて「イワヒバリだ!」と思っているけどもしかしたら違う子の可能性も…(鳥オンチです)。
幻想的な良い眺め。でも雲が多いのでご来光はあまり期待しておらず、ただぼ~っとしていました。すると…
おや?
おお… お日様が…!!
4:48 おはようございます\(^^)/
ちゃんとご来光を拝むことができました。ありがたき幸せ…!
しかも小屋の真ん前から見られるなんて。
宿泊のお客さん達。のんびりされている方もいたけど出発される方も続々と。
私たちもささっと小屋に立ち寄り、お土産の手ぬぐいをゲットしてまいりました。
雲がだんだんと取れてすっきりとした空になってきたなぁ。
鷲羽岳のお姿も。おはようございます。
屋根の向こうには双六岳がそびえているはずなのだけど、まだ雲の中。少し色づいて不思議な眺めです。
テン泊の方々も動き出しています。既に出発された方も多かったな。
そうそう、前日一緒に双六岳へ登ったソロのお二人のうちお一人は「僕はもう下山します」とのことで去っていかれて、もうお一人は「どうしようかな…鷲羽方面に行くか、それとも…うーん」と悩んでいたご様子。
実は私たちもグダグダと「どうする~?双六岳は昨日登ったし、もうこのまま下山しちゃってもいいけど…」と弱気に。でも…せっかくお天気もいいし、近くの樅沢岳方面までちらっとお散歩がてら行ってみようか?ということになりまして。
こちらが、小屋前から続く樅沢岳への道。この先は西鎌尾根に続いています。
続々と登っていく登山者さんたち。私たちはアタックザックのみで身軽にトコトコと。
途中でテン場を見下ろすと、向こう側の山が見えてきていました。すごい!あんなにカッコいい山が隠れていたのか!
後ろを振り返ると昨日登った双六岳がどどんと。
登っていく人たちの姿もよく見えています。
その先を眺めて見ると…山小屋らしきものが。
あそこが三俣山荘なんですね。次回は絶対行くぞ~。
そしてまたテン場方面。あちこち絶景すぎてキョロキョロするのにとても忙しい…。
それにしてあの山は何ていう名前なんだろう?と思いながら歩いていたら、近くにいた登山者さんが同行している方に「あっちは笠ヶ岳ですよ、あれが大笠、小笠って言って…」と説明しているのが聞こえてきました。話しぶりからして、ガイドさんとお客さんといった関係性だったのかな?私たちガイド料も払っていないのに解説をタダ聞きしちゃって申し訳ない(;'∀')
ズームしてみました。一番大きい▲が山頂(大笠)、右の小さい▲が小笠なのかな。左側のど~んとした山は抜戸岳なのかな。すごい存在感ですね。
ふと視線をテン場前の池に移すと… おや?池の半分が緑色をしています。一瞬「コケ!?」と思ってしまったけどよく見たら山が映り込んでいたんですね。まさに鏡のよう。
コケだと思ってしまってすみませんでした(;'∀')
キョロキョロしながらも、じわじわと登っていきます。
正面のトンガリは登らず右側へトラバースしていくと…
6:13 樅沢岳に到着です。小屋前から20分ほど。
広い山頂。ここはピークというよりは通過点のひとつなのだろうけど、良い場所でした。
おお、昨日一度も見られなかった槍のお姿が…!!
もともと北アルプスはちょっと縁遠いので「昔からずっと憧れていました」というわけではないのですが、やっぱり近くで見られると嬉しいですね。
でも実は「登るならどのルートがいいかな」というのは考えたことがあって、王道の槍沢ルートかなぁとぼんやり思っていましたが、西鎌尾根に向かう登山者さん達の背中を見送っているうちに「槍に登るなら西鎌尾根から行ってみたい」という気持ちに。今年の夏山はもう終わってしまうから来年か…それ以降か…また計画しよう。
あ…そんなことを考えているうちに槍の穂先は雲の中へ。
山頂の一画には「いかにも展望地への入り口」といった雰囲気の小道があったので、抜けてみると
穂高もずらりと見えてこれまた絶景。その場では「あれが〇穂かなぁ…」と思いながら見ていたのですが、あとから写真を見返すとどれがどこだかわからない北アルプスビギナーです。とりあえず一番南のギザギザが西穂だということはわかりましたが(;'∀')
写真を撮っていたら、これから槍に向かうというソロの男性がひょっこり現れて「大キレットも見えてるねぇ~」としみじみおっしゃっていました。
あの、がく~んと切れ落ちているところかな…。槍や劔は「あわよくば」と思っている私ですが、大キレットは一生歩くことは無いだろうな。眺めるだけ。
ぐるっと視点を変えて、笠ヶ岳方面。写真下側に移っている稜線は昨日歩いてきたところです。
この緑のまだら模様が北アルプスという感じがしますね。中央とも南とも全然違う。
左端に赤い鏡平山荘がちらりと見えています。昨日のかき氷はほんっとうに美味しかったな。
笠ヶ岳アップ。SNSなどでよく名前を目にする人気の山なので、以前から気にはなっているのですが… うむ、いつか行ってみたいな。
さて、そろそろテン場に戻って下山だ~。でもその前にせっかくだから一枚記念写真を… とセルフタイマーで撮ったのがこちら↓
ぶ~~~~~~~~んwwwwwwww
む、虫・・・・・・!!!(;´Д`)
「アタイが主役です」と言わんばかりの登場に、思わず爆笑してしまいました。これはアブかな?確かに虫につきまとわれた二日間だったけどまさかこんなに自己主張が強いとは。
…そうそう!虫と言えば今回こんなこともありました。前編にて仲良くなった方々と一緒に双六岳山頂に登ったという話を書きましたが、実は下りの最中おでこに違和感が生じまして。
なんだかかゆいような気がするな…虫にでも刺されたかな?と歩きながらおでこをさすってみると、なんとおでこの一部にピンポン玉が埋まってるんじゃないかというぐらいにぼっこり腫れていたのです…(;´Д`)
これは…ブヨか⁉(去年も気付いたら腕の一部がピンポン玉大に腫れたことあり) 他の人たちに気付かれたら恥ずかしいな…と帽子を深めにかぶってやり過ごしたのでした。
テントに戻って慌てて薬を塗りましたが、他にも両耳、首の後ろも二か所刺されていまして。首はたいしたことなくすぐに治ったけど両耳もふた回りくらい腫れてしまってしばらくつらかったなぁ。
対してオットは最後までどこも刺されず。確かに私よりもネットをかぶっていた時間は長かったけど…本当にそれだけか?普段からオットと一緒にいても私だけ蚊に刺されることがしょっちゅうあるのでこれも体質の問題かも。
確か足の裏の常在菌の問題でしたっけ。でも山行中はなかなか足の裏の除菌もできないし、普段使っているハッカスプレーを濃くするのと、やはり「おにやんま君」を召喚するしかないのか…。
そんなわけで、私は二日目のこの絶景もおでこをぼっこり腫らしたまま眺めていたのでした。かゆみも忘れるほどの眺め…!いや、やっぱりかゆい。でも感動的な眺め(堂々巡り)。
満足したのでそろそろ戻ります。正面には三俣蓮華岳を眺めながら。
もちろん鷲羽岳の姿もちらちらと眺めつつ。
正面にはどっしり双六岳。
左手には抜戸岳、笠ヶ岳。なんて良い眺めなんだ。
あまりの絶景に、テン場に着いてからももう一枚撮っちゃう。
マイテントにただいま~。
実は今回オットの希望でテントを新調しまして。これまではアライテントのエアライズ2を使っていましたが、「もうちょっと広いテントが欲しい」とずっと言っていたのです。私は特に不便はなかったけど体の硬いオットにとっては少々居心地が悪かったようで。
そして新しくニーモのダガーオズモ2Pを入手いたしました。色々書くと長くなってしまうので詳しくはまた改めて…。ちなみに、
諸事情ありまして記名済みのダサダサニャーモステントになりましたとさ。このお話もまた改めて書こうと思います。
8:14 撤収完了。名残惜しいけれど今回はこれにて下山します。
三俣蓮華岳・鷲羽岳まで行けなくて残念ではありますが、久々のテン泊でわりと体が疲れていたので結果的に「あ、大丈夫ですお腹いっぱいです」という状態になっていた私…情けなし。また必ず来ます…!
クロユリや、
イワカガミに、
チングルマなどたくさんのお花に見送られながら出発です。
しばらく歩いて稜線に上がると、ここからも槍の姿が見られました。
おお、幻想的…!昨日は真っ白で周りの景色はほとんど見られなかったからなぁ。ありがたや。
小さなアップダウンを繰り返しながら稜線を行きます。地味にキツイ…
わ、トリカブトだ。もう秋の気配ですね。
振り返ると双六岳がガスに飲まれつつありました。
昨日も見えていた、双六岳南側の山。相変わらず美しい。
また花見平にて癒されつつ…
どんどこ歩いていきます。
この日も登ってくる方がとても多くて、すれ違いでは道を譲ったり譲られたり。
昨日絶品かき氷をいただいた鏡平山荘に到着。
今日も食べちゃおうかな…と思ったけど、行動食が余っていたのでベンチをお借りしてそれらをむしゃむしゃ。すると…
どこからか大きな音。見上げるとヘリがやってきました。弓折乗越方面の斜面近くでホバリングしていたかと思うと、バーッと去って行って、その後再び戻ってきていました。事故かな…と思って眺めていたけど特にニュースにはなっていなかったようなので詳細はわからず。
でも最近SNSに「ヘリが要救助者をピックアップしてた」という動画を上げていた方がいて日付も場所も同じだったから、間違いなくそれなんだろうな。滑落か転倒か発病か…救助された方が回復されていますように。
山荘を過ぎたら樹林帯ゾーンに突入。緑が爽やかだけど標高を下げるごとに暑くなっていく…。
でも勢いよく流れる沢はとても涼しげ。
秩父沢まで下りてきました。
ちょうどテン場で何度かお話しした若い女の子たちも休憩されていたのですが、靴も靴下も脱いで足を沢に浸けていました。いいな~冷たそうだな~とは思ったけど靴を脱ぐのがめんどくさくて…(;´Д`)←めんどくさがり&せっかちな性格のせいで山を100%楽しめていないような気がしてきた…。
せめて手だけでもと思い、腕を伸ばしてパシャパシャ。ついでに顔にもピタピタ。冷たくて気持ちいい~。
休憩がてらここでもおやつタイム。ツルヤで買ったゼリーやドライフルーツがとても美味。最近クッキーやスナック菓子の類がどうも食べにくくて(普段のおやつとしては好きなんだけど)。
食べ終わったらまた頑張って下っていこう。
横からにょきっと伸びた木に頭をぶつけそう(実は一度だけぶつけました)。気を付けねば。
あそこの青い水のところ…飛び込んだら気持ちよさそう…!そんなことを思いながら汗をかきかき歩きます。
小池新道入口まで来たー!あとは林道歩きのみ!でもまだ一時間以上ある!
そういえば渡渉ポイントあったの忘れてた(;'∀')雨が降り出す前だったので楽々通過です。
平坦な林道ゾーン。見た目は穏やかだけどやっぱり苦手だな…じゃあアップダウンがある方がいいのかと聞かれれば、それもちょっと…←わがままが過ぎる。
美しい森だな。そういえばこの辺りにも当然クマさんが住んでいるらしく、目撃情報も多いのだとか。実際私たちが通ったほんの数日後にわさび平のテン場にクマさんが出没して一時閉鎖になったとか…ヒイィ。
マイヅルソウの実発見♪以前越百小屋の伊藤さんから「マイヅルソウの実って地球儀みたいできれいなんだよ」と教わって以来、見つけるたびに「あ、地球儀だ」と言ってしまう。
背の高いシシウドたちも。植物たちを眺めながら歩いていけば…
わさび平小屋に着きました~。こちらでお水をいただこうと思い、小屋の周りをウロウロ…
小屋の名物の野菜たち。ぷかぷかと浮かぶ姿がとても美味しそう~。
スイカも。
壁には素敵なイラストが。
そして奥に… あ、水場あった!美味しいお水が汲み放題、本当に助かります。
ボトルに汲んだそばから半分ほど飲み干してしまい、また汲むという(;'∀')暑い日あるある。
お~大量のラムネも!ビンではなくペットボトルなのが今風ですがちゃんとビー玉も入っているようでした。
ところで昨日は気付かなかったけど、小屋前にはサンカヨウもちょこんと生えていましたよ。
小休止したら再び歩き出します。もうちょっとでゴールだ~。道中、正面に異様な姿の山が見えていたけどあれはどこなんだろう。
お助け風の前で真剣に涼を取るの図。
そして登山口!もうちょっと!
目の前には傘をさして歩く女性。普段街中で見かける光景としては普通だけど、場所が場所だけに「こんなところで日傘?もしやマダム?」と思ってしまった私。
…む、でも山で日よけのために傘をさすって…かなりアリなのでは?※もちろん足場が安全なところに限りますが
実際林道歩きの途中は日影がない場所もあって、なかなかつらかったのです。私も日傘ではないけど雨天時用の小さい傘を持っていたから真似してさせばよかったなぁ。
そんなこんなで新穂高ロープウェイの駅を通り過ぎ、
14:14 無事に駐車場まで戻ってまいりました~\(^^)/お疲れ様でした!
北アルプスで初めてのテント泊。当初の予定通りにはいかなかったけど、絶景も見られたし良い出会いもあったし、素晴らしい二日間でした。
鷲羽岳方面、更に足を延ばして雲ノ平、そして槍へ向かう西鎌尾根…まだまだ歩いてみたい場所が盛りだくさん。何度も訪れたい山域になりました。
▲下山後のお楽しみ
下山後の温泉は、駐車場近くにある「ひがくの湯」さんにお邪魔しました。
登山者食堂という名が付いているところも素敵。
実はSNSでひがくの湯さんのアカウントを昨年からフォローしていまして。いつも駐車場情報などをまめに投稿されているのでとても参考になります。
館内には「いかにも登山者向け」のサービスがたくさん(着替え用ビニール袋や口中ケアグッズなどなど)あり、山の情報もあちこちに掲示されています。まさに登山者のための温泉…!
入浴後は、お腹ペコペコの状態で食堂へ。
オットはカツカレー、私はしょうが焼き定食をば。こういうところのお食事ってそこまでボリュームがないイメージだったので「足りるかなぁ」と思いましたが… ん?全体的に量がかなり多くないか…!?オットも私も決して小食ではないのですが、それでも十分満腹になり、最後はふうふう言いながら完食しました。そしてもちろん美味!!
この辺りの山に来たら絶対また寄らねば…。
そんなわけで楽しかった二日間終了です。
長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました(^^)