岩場と絶景。なんともぜいたくな稜線歩きでした。
【今回の行程】
一日目:美濃戸→行者小屋→阿弥陀岳→赤岳→行者小屋(行動5時間44分)
二日目:行者小屋→赤岳展望荘→横岳→硫黄岳→赤岳鉱泉→行者小屋→美濃戸(行動6時間55分)
▲合計距離 23.1km
▲累積標高差 2580m
↓前編は一日目について。
さて、二日目の朝。
本来ならばこのテン場をベースとしてテント張りっぱなし&荷物置きっぱなしで出かけるところなのですが、前回書いたようにこの日はちょうどヘリの荷揚げがあるため「テントは朝撤収してください」と言われていたのでした。
そんなわけで午前3時頃にもそもそと起きだしたあと、朝ごはんを食べたり着替えなどの支度をしたらテントの撤収作業をば。
周りのテントも灯りはついていたので皆さん起きていたようだけど動いていたのは私たちだけでした。なるべく音を立てないように荷物をまとめて…。
前日に小屋番さんから「荷物はここにデポしていってくださいね」と場所を聞いていたので(小屋の横)、不要な荷物を詰めたデカザックはそちらに置かせていただいてアタックザックのみで身軽に行ってきます\(^^)/
出発時刻は4:21。小屋の東側から地蔵尾根を辿っていきます。
稜線に出るまでのコースタイムは1時間20分。
ご来光は間に合わないかもしれないなぁ~(・・;)
ヘッデンの灯りを頼りに樹林帯を黙々と歩き、ハシゴを登り、岩場に出ました。
朝はペースが上がらない~…でも空が明るくなってくると元気が湧いてくる不思議。
あと少しで稜線だ。
あ、お地蔵様だ!地蔵ノ頭に着いた~~~~~…
おや?向こうに見えるのは…
5:24 わー!ちょうど日が昇るところだ!!
なんて強い光。感激です…。
私たちのすぐ後ろにはちょっとした岩場があり、その上にはカメラを手にした男性の姿が。空身なのでおそらく展望荘にお泊まりの方かな。
挨拶をすると「いやぁ抜群のタイミングで上がってきましたね!さすがだなぁ!」と声をかけてくださいました。なぜさすが?(;'∀')と思いつつも何だか嬉しくなり、エヘヘ…と薄ら笑いを浮かべてしまった私でした。
よくよく考えてみたら、ペースが上がらない…と思っていたけど小屋から稜線まで一時間で上がってこれたんだな。間に合ってよかった~。
・・・・・いや、それにしてもさっむ!!風つよっ!!
塩見の時と同じじゃないか(;´Д`)
私がお手洗いに行きたいのもあって(出発前にもちろん小屋で済ませてきたんだけど)、足早に展望荘へ向かいます。わー、雲海の向こうには富士山の姿が。
今日もお目にかかれて嬉しいな~。
刻々と色が移り変わっていく東の空。
西側には昨日登った阿弥陀岳。
このあと展望荘に駆け込みお手洗いをお借りした私。
宿泊のお客さんも結構いらしたみたいで、皆さん朝食をとったりお茶を飲んだりのんびり過ごされていました(ここはテン場がありません)。外があまりに寒かったのでつい「いいなぁ…」と思ってしまったわ。たまには小屋泊もいいかも…金銭的にゆとりがあれば…
それでは、気を取り直して横岳方面に進みましょう。
遠ざかる展望荘。ありがとうございましたm(__)m
昨日の阿弥陀岳・赤岳と同様、横岳も岩場続き。気を引き締めていかねばいけないのですが…風が強いのが気になるな。切り立った崖の上で風に煽られでもしたら…ブルブル。
…と心配したものの、
実際は稜線の東側を巻いていくような箇所が多く、強風の影響を受けるような場面はあまりありませんでした。
よかった~~…とはいえ危険な岩場であることに違いはありません。
とにかく慎重に、安全第一で。ヘルメットもかぶっていないのでなおさら気を付けていきましょう(;'∀')
こういうところも大体東側(西側もあったかな?)を巻いていきます。
いくつかのハシゴも。
ずっと東側に雲海を眺めながらの稜線歩き。
何度も足を止めて惚れ惚れしてしまう…。
振り返れば昨日登った赤岳の姿。堂々としているなぁ。
さて、前を向いて先へ進みますよ。
途中「おぉ…」と思うトラバースもあったけど、
基本的に危ないところにはクサリがきちんと付けられているので気を付けていけばよっぽど大丈夫。
どっこいしょ。
東の空から光が降りてくる。
今回の山行で一番印象的だったのがこの辺りからの眺めでした。
大きくうねるような雲海。
大小さまざまな山の重なりがとてもきれい。
この道標はどこだったかな…。
横岳周辺はいくつものピークが連なるところ。
二十三夜峰、日ノ岳、鉾岳、石尊峰、三叉峰、台座ノ頭など、ひとつひとつに名前が付けられています。でも実際は道標が無かったり、あっても文字が消えていてわからないところも。(その都度ヤマレコで確認すればわかるんだろうけど)
雲海の向こうにはまた金峰山の五丈岩が見えます。
そして目の前にはまた岩々。なかなかの高度感~。
一見すると「どこをどう歩くのやら…?」といった感じだけど、近付くとしっかりしたルートがちゃんとあります。
そしてまた東側を眺めてはうっとりしてしまう。なんだろう、この風景…向こうに神様がいらっしゃるのか?東方のアミトング・アシルジョングか…。
伊那谷のように山々に囲まれた町並み。地図を見ると南相木村だとか川上村の辺りだと思うんだけど…。今度意味もなくあの辺りに行ってみたいな。そして向こう側から八ヶ岳を眺めてみたい。
反対の西側には横岳の影が。
そんなふうにあちこちキョロキョロ眺めてしまうのでなかなか進まない(;'∀')
おお、きれいなハシゴが出現。
シャキーン。
ハシゴを登り、更に進むと…
三叉峰の道標。
余談ですが、この数日後この辺りで滑落死された方がいらっしゃるようです…。クサリ場を下降中に手か足を滑らせて滑落してしまったとのこと。私も改めて気を引き締めていかねばな…。
この先にもいくつかのピークが。横岳山頂はどこになるんだろうなぁ。
おお、ぽこっと飛び出た岩の上にもハシゴが。
ワッショイ!
ヨイショッ!(私は一体何のポーズをしているんだ…?)
ちなみにオットも私もずっとフードをかぶったまま歩いていますが、結局朝からずっと強風で寒かったのです。防寒具を着るほどではなかったけど…(おそらく着たら着たで暑くなる)。
そんなこんなでいくつものクサリ場、ハシゴを越えてきましたが、ようやく…
横岳山頂に到着しました!\(^^)/ワーイ
…と喜んでばかりもいられません。聞くところによると山頂直下の下りが非常に高度感があって危険だそうで… おお、ほんとだ。
カメラをしまって慎重に下りている私に、オットから「わー大同心だよ」との声。
安全なところまで下りて写真を撮りました。昨年硫黄岳に登ったときも気になったけど、にょきっと飛び出て不思議な形。この南側に小同心もあるんだけどそちらは撮りそびれちゃったな。
そしてまた急なハシゴや岩場を通過。
途中「すごいルートだなぁ…」と思いながら下った箇所があったんだけど…
正規のルートは右にあったということに下りてから気付きました(・・;)※私たちが下りてきたのは左。危ない危ない…;;
よくいろんな方の写真で見かける岩場のトラバース。個人的にはここが怖そう!と思っていたんだけど他の岩場と比べると全然怖くない場所でした。漫画『山と食欲と私』の鮎美ちゃんがガスガスの中歩いていたっけな~、とそんなことを思い出しました。
そして無事に岩場を下ってまいりました。ほっとする瞬間…。
↑この岩の塊とクサリの感じ…水槽の中のオブジェ(?)に見えてしまう。竜宮城みたいなやつ。
更に下って、遠目で眺めてみます。
やっぱり実際通過するよりもこうして眺める方が怖いなぁ…。
見事にゴツゴツ。
さて!横岳を無事通過したということで次に目指すは硫黄岳。
この先難所はないのでのんきに歩いていけばいいのですが…寒さと緊張からか、またお手洗いにいきたくなってきた(・・;)途中に硫黄岳山荘があるのでそこでお借りしよう。
歩いてきた道を振り返る。おや、東側から見ると随分緑が多いですねぇ。
そして前方に向き直る。遠くに見えていた硫黄岳山荘にぐんぐん近付いていき…
そして到着!写真が夜のような暗さなのは私の撮り方のせいです(;'∀')
まずは小銭を握りしめてお手洗いに直行。建物内にあるのですがこれがまた感動のきれいさでした。横にはシャワールームもあったっけ。
せっかくなので何か温かいものをいただくことにしました。充実のカフェメニュー。何にしようか悩んだ結果、オットはコーヒー、私は甘酒をオーダー。
外は寒いので中でいただくことに。待っている間あちこちキョロキョロ。
来ました♪私の甘酒と、(手がこわばっているな…)
オットのコーヒー…… わわ、傾けすぎて落とさないようにしてくれ(;´Д`)
小屋番さんに訊いたら持参のものもここで食べてOKとのことだったので、お稲荷さんやおにぎりを食べながら飲み物をいただきました。おかげさまで冷えた体もすっかり温まったな~。
時間にもゆとりがあったのでしばしのんびりさせていただきました。
ここもいつか泊まってみたいなぁ(テン場はないので小屋泊のみ)。
しっかりパワーチャージしたところで再び歩き出します。
山小屋のすぐ近くには駒草神社。そういえばこの辺りも夏に来ればコマクサが見られるんですよね。ツクモグサのほわほわもいつか見てみたいな~。
ケルンに沿ってだらだらと登っていき、硫黄岳山頂を目指します。
数分で硫黄岳山頂に到着\(^^)/昨年も来ているので二度目です。
ここからのお楽しみは…
二日間で歩いた山々がすべて見えること。
右から阿弥陀岳、中岳、赤岳、横岳。
うむ、感動的な眺めには間違いない…でもやっぱりこう見ると八ヶ岳ってすごくコンパクトですよね。一つ一つの山の距離が近い。
実は一日目に赤岳展望荘まで辿り着いて横岳を眺めた時、「もっと早い時間に出発すれば十分日帰りできるな…?」と思ってしまいました。(もちろん日帰り縦走する方もたくさんいらっしゃいます)
まぁそれでも私の場合は二日かけてじっくり歩く方が向いてるんだろうな。なんといっても貴重なテン泊の機会ですし\(^^)/
赤岳ズーーーム。コンパクトといっても山自体は大迫力。
こうして見ると山頂直下の標高差がなかなかですね…。
去年ここから眺めた時も「あんなところ登れるのかな」と思ったけど、実際近づいてみると意外と普通に登れる。不思議だなぁ。
赤岳と横岳。
爆裂火口のふちは昨年歩いたので今年は行きませんでした。
横から眺めるだけ。相変わらずすごい様相だな。
ケルンとオット。
左に小さく塩見ザクの肩が見えていますね。
中央アルプスもずらりと見えています。
やっぱり空木北側のがく~んと下がるところ、えげつないですね…。
北アルプスの山々も。
さて、景色を十分堪能したらぼちぼち下りましょうか。
あの白い砂浜のようなところは赤岩の頭。やっぱり美しいな。あそこへ向かって下りていきます。
そして下りてきました(^^)これから樹林帯に入るので山々の風景はこれで見納めです。
楽しい二日間をありがとう(…ってまだ下山もあるけど)。
赤岳の周りの尾根をよ~く見ると登山道らしきものが。あれはおそらく文三郎尾根。地蔵尾根もなんとなく確認できたんだけど、写真がうまく撮れていなかったのでボツ(;'∀')
それではいよいよ下ります。赤岳鉱泉経由で行者小屋へ。
ここから先はしばし単調な樹林帯歩き。飽きる~…でもこんなときに転んでケガをしやすいので注意せねば。
途中の道標に「大同心沢」という文字がありました。もしかして大同心ってここから入っていくんだろうか。
一応ロープは張ってあるけど踏み跡らしきものがありますね。未知の世界だわ。
更に下り、赤岳鉱泉に到着。「山食」で鮎美ちゃんがステーキを食べていたところ('ω')玄関前では遭対協の方々が休憩されていました。お世話になることがありませんように。
奥のテラスをのぞくと誰もいなかったので、テーブルをお借りして少し休憩させていただきました。
この周辺地図、味があっていいなぁ。
小休止ののち、行者小屋へ向かって歩き始めます。
この辺りもほんのり秋色。
更に歩いていくと…
あっ、マムート階段だ!!
確か文三郎尾根の階段にマムートマークが付いているというのはネットで見たんだけど、ここにもあったんだ~。実物が見られて嬉しいな。
たくさんある階段の一段一段にマムートマークがありました。ご支援のおかげで私たちも今こうして快適な山旅を楽しめている…ありがたいですm(__)m
そして中山乗越を通過。これもまた味のある道標ですね。
この山の絵、カッコいいな~~~。このデザインでTシャツ作ってほしい(^^)
あれは大同心と小同心なのかな。ここから見る姿もいいですね。
きれいな木があったんだけどピントが残念すぎる(;'∀')
もこもこきのこ。秋ですなぁ。
ところで時刻は10時半。頭上ではヘリの音が響き渡っていました。行者小屋に来ていたのかな。それともまずは他の小屋へ行っていたのかしら。
そんなことを考えながら歩いていくと…
行者小屋まで無事に戻ってきました。
ヘリはまだここには来ていないらしく、小屋番さん達が玄関前の広場で荷揚げ(荷下げもあったのかな?)の準備をしていました。
「危ないので奥にいてくださいね」と言われ、テラスの方に行くと…
大勢の登山者さん。小屋前で休憩中だったのか、それともテントを張りたいけどヘリ待ちをしているのか。私たちも荷物置き場から自分たちのザックを引っ張り出してきて、パッキングをしながらヘリを待ちました。
すると…
轟音を立ててヘリがやってきた!おおーカッコいい。
山でヘリの荷揚げに遭遇したことは何度かあるけど、こんなに近くで見るのは初めてだな。周りの皆さんが一斉にカメラを向けているので、私も…
と思った次の瞬間、
バラバラバラバラバラバラバラバラ
ビシビシビシビシビシビシビシビシ
い、痛っ、いって!いって!!!(;´Д`)
ヘリが巻き上げた砂や小石が猛スピードで全身に飛んできます。とっさに背を向けて帽子を深くかぶり、目をぎゅーーーーっと閉じました。そして待つこと数十秒…
ヘリが飛んでいき、ようやく目を開けることができました…目に砂が入ったな…痛い…口の中もジャリジャリする。
20mは距離があったのにこの威力。至近距離で作業をする小屋番さん達の苦労ってとんでもないな…しかもみなさんマスクもゴーグルもしてないし。慣れなの?それとも体が強靭なの??
そんなことを考えていると再びヘリがやってきた!!
さっきは「わーヘリ来たよ~」とカメラを構えていた登山者さん達、一斉にフードをかぶったりしゃがんだり防御の姿勢(;'∀')もちろん私もすかさず背を向けて防御。
そして数十秒後、砂煙を上げながらまたヘリは飛び去っていきました… 気付くと広場にはヘリが荷揚げしてくれたであろうガスボンベがいくつも並んでいて、小屋番さんたちがひとつひとつせっせと運んでいらっしゃいました。本当にお疲れ様ですm(__)m
ところで私はヘリが来る直前までこのサッシの桟にグローブを置いていたのですが、ヘリが去ったあと「一瞬で砂埃が積もった」という写真を撮ろうとしたら何やら違和感…。よく見るとグローブがひとつ吹っ飛んでいました(その後無事に回収)。
すごい迫力だったな~。そして山小屋のお仕事って本当に大変だな。そんなことを話しつつパッキングを済ませ、いよいよ小屋を後にします。
阿弥陀岳も見納め。素晴らしい時間をありがとうございました。
下山ももちろん同じ南沢コースで。
前編で「迷いやすいらしい」と書きましたが、今回私たちも「あれ?」と思ったことが。テープや踏み跡通りに下っている最中、左側の別の道から下りてきた方と遭遇して「あの人変なところから下りてきたな…」と思ってよくよく見たらそっちの道にもテープがあったという。別にどちらも間違いではないんだろうけど、どこに分岐があったのかはよくわかりませんでした…(;'∀')
下山はあまり写真も撮らずにひたすらテクテクと。
13:05 そして登山口に無事下山!!お疲れ様でした~~~\(^^)/
二日間岩場続きだったけど、ケガもなく無事に歩くことができて本当によかったです。お天気にも恵まれ楽しい山旅でした。
これで八ヶ岳の主な山は大体歩けたことになるのかな?とはいえ雨池山や西岳など踏んでいないピークもあるし、県界尾根など未踏のルートもたくさん。まだまだ八ヶ岳には通わなければ。
▲おまけ▲
帰りは茅野のラーメン屋さんへ寄ったのですが、ここでびっくりする出来事が。
お店に入る前、駐車場でゆめひなさん&たろうさんとばったり遭遇したのです!実は山にいる間に山仲間であるお二人とLINEでやり取りしていまして…(主に安否確認)。お二人はこの日北八ヶ岳の北横岳に登っていたそうなので、茅野や諏訪でウロウロしてたら会えるかもね~とオットと冗談を言っていたら、本当に会えました\(^^)/
少し立ち話をし、「また4人で山に行きましょうね~」と言って別れました。
そしてこの翌週、火曜日に晴れマークが出現したので4人で天狗岳に行ってきたのです。…というわけで次はそのお話をば。
ご興味のある方、もしよかったらまた山行記録を書きますのでぜひのぞいてみてくださいませ。
今回も読んでくださってありがとうございました♪