ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

▲常念岳(2857m)・大天井岳(2922m) 2023年7月11~12日【後編】

風に翻弄された二日目の話。

 

前編はこちら↓

 

翌日は午前3時頃に起床。相変わらず風は強いけど雨は止んだようなので予定通り行動します。朝ごはんはなんだかんだでアルファ米が便利なんですよねぇ。

4:12 身支度を整え、大天井岳へ向けて出発します。

厚い雲に覆われているけれど、だんだんと取れていくはず(そんな希望的観測)。

少しずつ今日が始まっていくこの感じ。何度味わってもいいものですね。

いやーしかし朝一番の登りはじめは本当にキツイ(;'∀')体が完全に起きていないしすぐに息が上がる。足元に気を付けてなるべくゆっくりと…。

あー八ヶ岳だ…と眺めていたら、その南には富士山が!!おおー結構しっかり見えるんだなぁと感激であります\(^^)/

ご来光が近そうなので、途中で立ち止まって待機。

4:23 お日様が顔を出しました。ありがたや~~~。

早朝の山は寒いものだけど、それに加えて風も強いので体温持っていかれるわけですよ… 朝陽が嬉しい~~~。

昨日登った常念岳が正面にドドン。

これ穂高方面だったかな。山は隠れているけど雲が朝陽に染まってきれい。

では、引き続き大天井へ向けて歩いていきますよ~…

いや風つっよ!!!さっむ!!!

ちょうど横通岳を巻いていくこの辺り、西側の谷から吹き上げる風がゴウゴウと容赦なく。ひいいぃ~~~。

あっコマクサがたくさん咲いてる!可愛い!写真撮ろ!いや風ぇェェ!!

あっイワツメクサ… だからちょっと風てぇぇェェ!!

あ、奥のシャクナゲはちゃんと撮れた(;'∀')エヘ

ちなみにわたくしはずっとこんな出で立ちで歩いていたようです…(オットが撮ってくれた一枚)。ネックウォーマーを鼻まで上げて、サングラス、そしてニット帽を深めにかぶって。強風と寒さを凌ぐために気付いたらこうなっていたのですが、まさかこんなに怪しい見た目だったとは。

あちらは昨日上から見た北鎌尾根(仮)でしょうか。

「風がだいぶ強いけどこの後どうする?予定通り大天井まで行く?それとも引き返す?」とオットと相談。確かに風は強いんだけど…時々スンッと弱まることもあるんですよね… 結果、もう少し進んでみようということになりました。

途中、東側が開けている場所がありました。わぁ、見事な朝の風景だ。

この山々の連なり、雲海、色合い。以前横岳の辺りから眺めた風景とよく似ているな。

横岳といえば。手前の山に阻まれていた八ヶ岳がまた少し見えるようになっていたっけ。

ここは開けているけど風の通り道ではないらしく、写真撮影をしつつ小休止させてもらいました。

朝陽が当たって緑が随分と濃く見えますね。

ビビットな良い眺め。いやーしかし…右上の稜線近くに見えている雪渓…あれが気がかりでして。個人的に夏山で出くわす雪渓に苦手意識があり、なるべく通りたくないと思っているのですよね…。この風に煽られてズルっといって谷底にザザーッなんて…なるかな?ならないとは思うけどなんだか不安。

ひとまず近くまで行って、どんな様子なのか見てみよう。

振り返ればこれまで歩いてきた爆風ロードが見えます。左のとんがりが横通岳かな(巻いていくので山頂は通りません)。その奥には常念岳の姿。

ここからしばしハイマツ帯を進みます。おっと、レンズが曇ってしまった。

穂高方面は雲の中…荒れていそうだなぁ。

一時緩まったような気がしたけどこの辺りは再び爆風ロード。途中ソロのお姉さんとすれ違ったのですが「大天井の方はもっと風強かったですよ」と不穏な一言を残して行かれました…。

ぞっとしつつも更に歩みを進めると、

ここでなんとお花畑が!!今回の山行ではあまり高山植物を見られていなかったので(さっきコマクサ達には出会えたけど)、嬉しい\(^^)/

わーなんと素晴らしい…

黄色いお花は数あれどシナノキンバイのひらひらした感じはとても素敵。

ハクサンイチゲも大好きな山の花。

ビュオッ… くっ、やはり風が…!!

チングルマコイワカガミ、あとはあの小さな…なんだっけ、アオノツガザクラみたいな花も。今回の山行で出会った唯一のお花畑。強風のためじっくり楽しめなかったのが心残りですが、ほっこりとしたひと時でした。

お花畑を過ぎたら目の前には雪渓が。先程「大丈夫かなぁ」と心配しながら眺めていましたが… あらら、こんな感じなんだ!完全に巻けるじゃん!イヤッフーゥ!!ヘイヘイヘーイ!!!(←ほっとしすぎてテンションがおかしくなっている私)

しかも大天井へのルートはちょうどここを直角に曲がった先に続いていたので、上の写真で言うと右上に登っていく形になっていました。

こちらですね。あ、何やら道標が立てられているわ。

振り返って雪渓越しの横通岳、常念岳

するとここでまた大天井方面から来た方とのすれ違いがありまして。その方が言うには

「昨日は大天荘でテン泊予定だったんだけど、風が強すぎてテントが張れなくて急遽小屋泊に変更になっちゃって」とのこと… ひえ~大天井近辺はもっと大変な状況だったんですね(・・;)

そんな登山者さんとの立ち話もありつつ。先へ進みます。

先程すれ違った女性が「この先はもっと風が強いですよ」と言っていたのが気がかりですが… あら、思ったよりは大丈夫そう…?

あ~でもこれまでの道中で結構体力消耗してるから早く山頂に着いてほしいな。あそこにピークらしきものが見えているけどまだ山頂ではなさそう。もうひと頑張りか。

向かいの山の斜面に雲の影が。芸術的だな。

山並みと雲の風景に癒されつつ歩いていくと、ここでまた登山者さんとのすれ違いがありまして、

その中のお一人が立ち止まり「あそこって涸沢なんですよね?」と…

ああ、あの雪渓があるところ??

「小屋が見えてますよね」と言われたので目を凝らしてみると…

あーーーっ、ほんとだ!小屋らしきものが!方角的にも確かに涸沢方面ですね。私たちはいまだに足を踏み入れたことのない山域です。素晴らしい場所なんだろうけど混んでいるイメージが強くて。でも一度は行ってみなければなぁ。

そんなこともありつつ先へ進んでいくと…

わっ!あれは…!!

雷鳥ファミリー!!\(^^)/

登山道のど真ん中で出くわしたのでお互いにびっくり。でも嬉しい驚き!!そういえば去年も爺ヶ岳~冷池山荘間で同じことがあったっけ。

親も可愛いけどほわほわのチビたちもめちゃめちゃキュートでございます…ありがたやありがたや…。ファミリーの邪魔をしないようしばし静かに眺めていたけど、まったく逃げる気配がないのでそろ~っと登山道の端っこを歩いて通り過ぎた私たちでした。

いや~嬉しい出来事でした。一気にテンションが上がった私たち、この勢いで大天井までゴーゴー\(^^)/あの小ピークを越えたらいよいよ山頂が見えるはず!

おっ、いよいよ見えてきたぞ!!しかし…しばらく鳴りを潜めていた風の強さがここで再び……

常時強風時々爆風…!!!写真では全然伝わらないけど…!!!大天荘と山頂がすぐそこに見えているのに、よろめきつつ岩につかまりつつでまさに牛の歩み。

這う這うの体でひとまず大天荘に到着…小屋の右側を抜けると山頂へのルートがありました。

ううう~まもなく山頂~~~~ そして…

7:09 キタアアァァァ!大天井岳

後ろはガッスガス!!!

山の神様!ありがとうございます!

※祠について少し調べてみましたが詳細不明でした。

おや、北西に見えているあの辺りはもしや高瀬ダム?風強いし寒いしで周りの景色を眺める余裕はありませんでした… 写真数枚撮ったらすぐ撤退!

そして無事大天荘まで下りてまいりました。お土産を購入するために小屋内へ立ち寄り。大天荘のオリジナル手ぬぐいはどれも素敵で本当に迷いましたよ…最終的にこちらの2枚に決定(^^)

小屋を出たあとベンチに腰掛けて行動食をもさもさと食べていたのですが…目の前には真っ白ガスガスな風景、そして吹き荒れる風。ひと気もなく本当に寂しくて、こんなに帰り道を思って絶望的な気持ちになったのは初めてでした。大げさだとは思うのですが。

それでも行くしかないか…。当たり前だけどここまで歩いてきたのだから歩いて帰るしか道はないのですよね。

唯一希望があるとすれば、大天井の山頂から小屋へ下りてくる時、常念岳方面に歩いていくふたつの人影が見えたのですよ。もうだいぶ先へ行ってしまっているだろうから追いつくかどうかはわからないけど…私たちだけじゃなくて「他にも人がいる!」と思うだけでちょっと気持ちが強くなります。

そしていよいよ大天荘を出発しました。状況は相変わらず基本強風時々暴風。岩に体を打ちつけてケガをしないよう耐風姿勢を取りながら進むのでまるで亀のよう(・・;)

でも一時的に風が弱まった時はすかさずスピードを上げたので、結果的にはプラマイゼロでほぼコースタイム通りでした。そのおかげか(?)途中の稜線上で先行者のお二人に追いついた~\(^^)/

お二人はちょうど文字の消えかかった古い看板の前で立ち止まっていて「こっちで合ってるのかな?」と話し合っているようでした。話しかけてみると、常念方面に向かい一の沢から下山とのこと。不安そうにされていたので「こっちで合ってますよー」と答えつつ、途中まで一緒に下ることに(私たちだって初めて来てるのになに先輩風吹かせてんだって話ですが本当にスミマセン)。

あとから「ほんと良かった!お二人の背中が大きく見えましたよ、救世主です!!」とものすごく大げさにお礼を言われたのですが… いやいや!私もまっっったく同じ気持ちでしたから!!やはりお互いに心細かったのでしょうかね…

おかげさまで4人とも無事に常念乗越まで下りてくることができて心底ほっとしました。(9:29)

お二人はそのまま下山するのでここでお別れ。私たちはテン場へ行き撤収作業をば。

広いテン場の奥に私たちのテントがぽつんと。今回は結局4張くらいだったかな。ハイシーズンの週末はいっぱいになるんだろうなぁ…。

さてさて撤収が済んだらとっとと下ります!雨がわずかに落ちてきていたのでレイン上下着て出発することにしました。下りはほぼ樹林帯だからこの強風とはおさらばだ~イヤッホ~とテン場を出ると、

ゴオオオオオォーーー(爆風)

最後の最後まで…(T_T)

10:37 さて下山開始だ!

逃げ込むように樹林帯へ。これでひと安心…あとは順調に下ってまいりました。↑の写真は胸突八丁を下り切ったところ。事故の多いところと聞いているけど確かに下りはちょっと気を遣うな~雨で階段が濡れていると余計に。

昨夜の雨でまた水量が増えたかな。相変わらず水びたびたの登山道を下ります。

王滝ベンチのところまで下りて小休止。今回お初の行動食、ちょっとすっぱいグミ。クエン酸が効くかなという単純な理由で選んだけど味もおいしかったです。

イチヤクソウだっけ、もう記憶が…。このギザギザの葉っぱは違う植物のものが重なっちゃってるんですよね、おそらく。あぁでもちょっと自信がないぞ。違っていたらごめんなさいまし。

樹林帯は平和でいいなぁ…。

ザックカバーを付けていると余計に大きく見えるな(;'∀')一泊なのに。

ちなみにレインを着込んで下っていたけど結局雨はひどくならず途中で止みました。風もなく蒸し暑かったのでたまらずジャケットだけ脱ぎましたわ。あちあちー

あともうちょっとでゴールだというところで転倒事故が起こりやすいので、十分気を付けて… 岩で足を滑らせないように。

山ノ神にお参り。おかげさまで無事にここまで戻ってこられましたm(__)m

そして登山口に到着!!熊出没の看板が目立っていますが、確かにこのルートや三股の辺りって熊の目撃情報がかなり多いイメージがあります。私たちは運よく遭遇せずに済みました。よかった…。

このあとゆるゆると林道を歩き…

14:23 駐車場に帰還いたしました\(^^)/風に翻弄された2日間だったけどケガも事故もなく無事に歩けて本当に良かった。常念も大天井もずっと行きたい山だったので大満足です。でも願わくばよく晴れて穏やかな天候の時にまた登りたいな。その機会を楽しみに。

下山後は温泉&がっつりごはん。カリカリの山賊焼き最高に美味しかった…!!

帰宅後、手ぬぐい開封の儀。3枚とも色合いがものすごく好み。早速仕事で愛用中です。また行けたら買い足そう。

 

毎度のごとく拙い山行記録ですが、ここまで読んでくださりありがとうございました(^^)