ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

天狗岳(2,646m)・硫黄岳(2,760m) 2020年9月28-29日 ≪前編≫

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10年ぶりの天狗岳。初めての硫黄岳。

晴天に恵まれすばらしい山行でした。

【今回のルート】

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1日目 桜平(中)P→オーレン小屋→東天狗・西天狗→オーレン小屋(テント泊)

2日目 オーレン小屋→夏沢峠→硫黄岳→赤沢の頭→オーレン小屋→桜平(中)P

【合計距離】15.55km

【累積標高差】1,387m

 

【いきさつ】

今年は泊まりの山は無しかなぁ…と思っていたコロナ禍の2020。

でもなんとなく一度はテン泊したい。

とはいえ今年はあまりハードなところを歩いていないので比較的楽な山がいいなぁ…。

「テン場まで近い山がいい!」を条件にぼんやり考えていたところ、ふと頭に浮かんだのが八ヶ岳でした。うむ、困った時の八ヶ岳。テン場も山も選び放題。

その中でも「一度、晴れた日に天狗に登ってみたいよねぇ」という話になり、オーレン小屋テン泊で天狗&硫黄岳を歩くことにしたのでした。

※11年前に初めて天狗岳登山を計画するも悪天候により北八ツトレッキングに予定変更。10年前にようやく登頂するもやはり悪天候によりガスガス。

 

【本編】

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6:15 9/28の朝、自宅を出発。

自宅から登山口(桜平)までは約1時間半。

そしてテン場のあるオーレン小屋までは1時間強。

その後天狗に登る予定ですが往復でも4時間ほどなので、今回は比較的ゆっくりめの出発です。

天気もいいし、楽しい山行になる予感しかない('ω')

 

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茅野市の桜平という登山口へ到着。

ここには下・中・上と3か所に駐車場があります。

上まで入れれば歩く距離も減るので楽は楽なのですが、あまり広くないので20台ほどしか停められないそうです。まあ歩いたとしても600mほどだそうなので「“中”の駐車場に停めちゃおうか」ということに。

 

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駐車場の埋まり具合はぼちぼち。

日月と来ている人も多いだろうから、明日以降はもうちょっと少なくなるのかな?

※公衆トイレがありますが現在感染症予防のため閉鎖されています。ご注意ください。

 

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8:10 車内でおにぎりをひとつ食べ、支度をし、出発です。

伊那谷はあんなに天気がよかったのに、八ヶ岳はガスの中…。

ものすごく細かな霧雨が降っていました。

でもカッパを着込むほどではないのでそのまま歩き出します。

 

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8:36 林道をトコトコ歩き、夏沢鉱泉を通過。

細かな霧雨は続いていたけどじわじわ登っていくとやはりアッツイ!

上を1枚脱いで、ふーヤレヤレ・・・。

 

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夏沢鉱泉を過ぎたらようやく登山道らしくなってきました。

八ヶ岳に来たなぁ~という感じの苔ロードですが、心なしか南アルプスの仙水小屋への道にも雰囲気が似ているような。あそこも沢に沿って続く登山道だったなぁ。

 

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ふと上を見上げれば青空。

 

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9:37 オーレン小屋に到着しました。

漠然と…オーレン小屋ってもっと「行くのに大変なところ」にあるという勝手なイメージを抱いていた私。登山口からこんなに近い上に天狗や硫黄に近くて、八ヶ岳入門におすすめの場所とHPに書かれていました。いやあ、調べてみないとわからないものですねぇ(;'∀')

 

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コロナ禍で普段と勝手の違う今年。

小屋にお邪魔する前に、HPで注意書きをじっくりと読まねばなりません。

こまかーく色々と書かれているのでちょっと緊張しましたが、小屋の方は親し気な雰囲気で迎えてくださったのでほっとしました。

受付をし、検温をしてもらい、注意事項の説明を聞きます。

あ、ちなみにオーレン小屋はテン泊でも事前予約が必要です。

ご注意くださいm(__)m

詳しくは↓

www.o-ren.net

 

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お手洗いは建物内にあるので、靴を脱いで上がります。

↑写真左の白いシートがかかったところがお手洗いへの入口。

小屋のHPに「便座除菌用のシートをお持ちください」と書かれていたので私たちも持参。それと手指消毒用アルコールも。

でも小屋内部にも消毒用アルコールが数か所に置かれていて、お手洗いもとてもきれいでした。小屋の皆さんありがとうございます。

 

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飲料水はこちらから↑

秋になると水場によっては涸れてしまうところもありますが、ここは水が豊富な場所なので本当に助かります。中央アルプスの縦走も水問題には悩まされたもんなぁ…。

 

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小さな橋を渡った向こう側がテントサイト。

使用料 一人1,000円

ここは先着順でスノコが使えるとのこと。

私たちが到着した時にはこれから撤収すると思われるテントが数張り残っていたけど、それでもスノコの空きもいくつかあったなぁ。

 

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私たちは上の段の一画にテントを設営。

久々の我が家\(^^)/

 

さて無事にテントも張れたことだし、軽くお昼を食べて(食パン+たまごサラダ+明太子パスタ)、サブザックに荷物を詰めて天狗へ行こう~。

 

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11:09 小屋を出発。

東天狗まではコースタイムで大体1時間45分ほど。

静かな苔ロードをサクサクと登っていきます。

 

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途中、箕冠山(みかぶりやま)という小ピークを通過。

 

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帰りはここから夏沢峠方へ向かう予定。

さて、この辺りまでずっと展望のない樹林帯を歩いていたのですが、箕冠山から少し下っていくと…

 

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ややっ?なんだアレは!?

突如、木々の向こうに開けた場所が現れました。

 

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おおー!!突然広がる風景にちょっとびっくり。

ガスの中にうっすら見えてるのが根石岳山頂なのかな。

 

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しかし…白いなぁ。

今回こそ晴れた天狗岳に会えるかと思っていたけど、やっぱりガスガスなのかしら。

 

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向こうにちらりと根石岳山荘の屋根が見えました。

水場があるんだ… あとからネットで調べたらお風呂もあるそうですよ。

 

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あっ、天狗が見えてきた!あそこが西天狗になるのかな?

 

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どうかこのガスが晴れますように…。

祈りながら根石岳への登りをテクテク歩きます。

 

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根石岳山頂へ到着。

この辺りは登山者がちらほら。お友達と歩く中高年の方や、ソロのお姉さんなど。

 

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テッテレー。

荷物が軽いと楽ですよねぇ、ほんと。

 

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根石岳山頂から。

ぼんや~りと浮かぶ東天狗(右)と西天狗(左)、ふたつの山をつなぐ緩やかな吊り尾根。少しずつガスが晴れてきているような気が。

 

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本沢温泉との分岐を過ぎて、

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東天狗への登りへ。

始めは広くて緩やかな道だけど、

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山頂近くからはだいぶゴツゴツになってきました。

 

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見た目のわりに意外と歩きやすい道です。

 

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山頂が見えてきた!

写真中央あたりに金属製の橋がかけられているのですが、ここから何気なく崖下をのぞいてみたら…

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わ、ブロッケンだ!

ブロッケン現象とは、太陽などの光が背後からさしこみ、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、見る人の影の周りに、と似た光の輪となって現れる大気光学現象。 (Wikipediaより)

初めて見たのでなんだか感動。

後ろから来るオットに

「崖の下にブロッケンが見えるよ!でも手すりとかないから気を付けて!落ちないようにほんと気を付けて見てよ!」

と声をかけたけど、お前も気を付けろよ…ですよね…今思えば(;'∀')

 

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その後山頂直下の岩場も過ぎて(鎖があったけど使わず登れます)、

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12:32 東天狗岳に到着しました。

オニーサンたちごめんよ、顔をお花にしちゃって。

そんなに広くない山頂は多くの人でにぎわっていました。

 

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わー、西天狗見えた!こんな眺めだったのかぁ…。

 

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↑ 10年前に訪れた時はこんな景色でした…。何も見えん。

 

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オットが撮ってくれた一枚。

青空が見えてくると俄然やる気が出ますね。

 

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景色をもっと堪能したいところだけど、ひとまず西天狗へ向けて歩きましょう。

 

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まず下ってから登り返します。

下りの最中にすれ違ったとあるおじさま、ゼエゼエ言いながら立ち止まって東天狗を見上げて

「…あぁ、メンドクセェ」

Σ( ゚Д゚)

登り返しは確かにメンドクセェ…けど、ちょっとニヤリと笑ってしまった。すみません。

 

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目を凝らしてみると、森の中にぽつりぽつり色づいたところが。

深い緑と合わさってきれいだなぁ。

 

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登山道脇にも鮮やかな紅葉。

 

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西天狗も山頂直下はガレガレのガレ場。

 

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ここを越えたら…

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12:53 西天狗に到着です。お疲れ様でした\(^^)/

 

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↑ しつこいようですが10年前の写真。

辺り一面真っ白で、登頂したものの自分たちが一体どんなところにいるやらさっぱりわからなかったけど…

 

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今回は、絶 景 っ !!

 

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わずかに残っていたガスも晴れて、先ほどまでいた東天狗があんなにくっきり。

少し右に目線を移すと…

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わっ!!すごい岩壁が見えてきた。

あそこが硫黄岳山頂になるのかな。下には根石岳山荘も見えます。

 

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こうして見ると、根石岳山荘ってすごいところに建っていますね。

 

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西天狗の山頂は平らで広々としているので、ちょっとおやつでも食べがてら休憩しましょう。バッグから取り出したのはオットが自分の好みで作るトレイルミックス。私の希望でピー揚げも入れてもらいました。

ピー揚げ…命のピー揚げ…激うまなんだけどとんでもないカロリーモンスターゆえに平地ではなかなか食べられません。

 

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小一時間ほど、絶景を眺めながら休憩させてもらいました。

はー、素晴らしい。念願だった「晴れの天狗」。

来られてよかったー。

 

それでは、のんびりと下っていきますか。

 

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ほんのり秋色の斜面。

これからもっと色づいていくのが楽しみですね。

 

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おお、奥に硫黄岳がはっきりと見えてきた。

なんだか日本じゃないような景色。(日本の外に出たことないけど…)

そしてその手前に見えるピークは先ほど通過した根石岳

 

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反対側を見下ろすと黒百合ヒュッテが見えました。

10年前に来た時はあそこから天狗の奥庭を通って登ってきたんだわ。

また向こうのルートも歩いてみたいな。

そして黒百合ヒュッテでもテン泊してみたい。

 

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東天狗も過ぎ、岩場に注意して下っていきます。

わ、ガスがわいてきた。

 

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そうそう、上から見下ろすと歩いてきた登山道が見えるのですが(黄色い線に沿って)、どこの山でもそうだけど遠目だとなんだか頼りない道に見えますよね。実際歩くと滑落の心配のない比較的広い道なんだけど。

 

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下りでも一か所ブロッケンが見られました\(^^)/

 

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本沢温泉との分岐あたりまで下りてくると、東西の天狗をしっかりと見渡せました。いやあ、素晴らしい眺めだなぁ。

ちょうど近くで休憩されているカップルさんがいらしたので挨拶をして通り過ぎようとしたところ「すみません、写真撮影お願いできますか?」と声を掛けられまして。

もちろん!とスマホをお預かりして撮らせていただいたのですが「よかったらお二人も撮りましょうか」と言ってくださって…

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お言葉に甘えて撮っていただきました。

普段二人だけで歩いているとこういう写真ってあまり撮らないので嬉しいです♪ありがとうございました!

(私の方が(´∀`)←みたいな面白い顔をしていたので(いつもか?)自分だけ隠すという…。)

 

写真を撮ってくれたお二人もテン泊装備で、赤岳鉱泉の方からずっと歩いてこられたとか。すごいなぁ。私たちも来年は縦走したいな。

 

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…なんて話をしていたら南八ツの方々が見えてきた!迫力あるなぁ。

 

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行きでは真っ白だった根石岳もくっきりと。

天気が好転して本当によかったなぁ。

絶景に別れを告げ、ここからは樹林帯に入ります。

 

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樹林帯に入ってすぐ、歩荷さんとすれ違いました。

根石岳山荘で使う薪用の材木なのかなぁ。

歩荷ができる人の体って一体どうなっているんだろう、尊敬です。

 

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箕冠山から左に折れ、夏沢峠方面へ。

静かな森の中を歩いていきます。

 

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道中、木々の間が開けてもう一度天狗の姿を拝むことができました。

絶景をありがとう~。

 

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あ、根石岳山荘の看板のところにいるのは先ほど写真を撮ってくれた方々かな?

このあと桜平まで下るとのこと。どうぞお気を付けて!

 

登山道をしばし進むと…

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ドドン!と正面にあの岩壁が見えてきました。

 

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何度見てもすごい迫力ですねぇ…。

明日、この上に立ったらどんな景色が見られるんだろう?

 

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対して、足元は穏やかな苔の森。

やっぱり八ヶ岳は何度来ても面白い山だなぁ。

 

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夏沢峠に到着。明日はここを経由して硫黄岳を目指します。

 

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15:11 オーレン小屋のテン場に戻ってきました。

休憩を含めてもちょうど4時間。荷物が軽いとサクサク歩けて楽しいな。

…それにしても↑看板の「先住民以外は」っていうのがなんだかいいですね。フフフ。

 

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テント内で早速着替えてすっかりリラックスモード。

時間はたっぷりあるけれど適当なところで晩ごはんにしよう。

 

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今晩のメニューはこちら↑。

いつだったかカモシカスポーツさんで買ったヒマラヤンカレー。

これで一人前なので、もうひとつレトルトのビーフシチューを持参してカレーとシチューのあいがけにする予定。それとアルファ化米。

 

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少し前に百均で買ったミニボトルにトッピング用の色々を入れて持参。

(おかか先生もひょっこり。)

 

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お湯を注ぐだけ、あるいは湯せんするだけ、で完成です♪

水が豊富な場所ならではのメニューだな~。

ミックスビーンズやチーズなんかもちょいちょいトッピング。

カレーは結構辛かったけど美味!疲れが取れます。

 

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オットは熱燗やビールなどをぐびぐび。

私もお菓子をちびちび。

 

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そうそう、我が家のテントのすぐ後ろにはダケカンバの木が一本ありまして。

きれいに色づいてなんだかとても居心地のいい場所でした。

 

一日目はこんなふうに楽しく充実した一日でした。

次回に続きます\(^^)/

 

後編upしました

hinemosk.hatenablog.com