ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

▲甲武信ヶ岳(2,475m) 2023年6月20日

日本一長い川の源流に出会う山旅。

今回のルート

毛木場P→千曲川信濃川水源地標→甲武信ヶ岳山頂※ピストン

▲合計距離 15.5km

▲累積標高差 1121m

▲コースタイム 7時間29分(休憩含む)

 

いきさつ

深田百名山の一座である甲武信ヶ岳

オットの好きな金峰・瑞牆方面の山であること、甲州武州+信州というちょっと面白い名前の由来(諸説あり)であること、そして千曲川信濃川の水源があること… (あと最近で言うとフォッサマグナにできた離れ小島であると知ってハッとしたことも)

などなど、気になる要素満載の山です。登ってみたいと思いつつなかなか機会がなかったのですが「今年こそ!」ということで、梅雨の合間に行ってみました。

以前にも山行計画を立てたことはありまして、それは十文字峠や三宝山を経由するルートで登り、甲武信小屋でテント泊、水源ルートで下山という1泊2日周回プランでした。でも今回はひとまず日帰りで行くことに。そうなると周回コースは結構大変そう(私にとって)ということで、水源ルートのピストンにしました。

それでも距離15kmくらいあるのか…今年はまだルンルンお手軽ハイクしかしていないので久々にしっかり歩かなければな。時間にゆとりをもってゆるっと行ってみましょう。

 

本編

朝6時頃に毛木場駐車場に到着。週末はかなり混雑するようですが平日なのでまだまだ余裕ありでした。ところで「長野県側の登山口は毛木平」とずっと覚えていたのですが「毛木場」とも言うんですね…?ネットで調べても「毛木平(毛木場)」もしくは「毛木場(毛木平)」という表記がずらり。どっちで書こうかなと思ったけどひとまず今回は毛木場と書いておきます(ヤマレコのログがこっちの名前だったので)。

6:23 出発\(^^)/このルートは全体的にゆる~~く登っていく感じだそう。早速ほぼ平坦歩きからスタートです。

やわらかな朝陽が心地いいな~。

おお、両側におびただしい数の…これはマルバダケブキか?

うわ、上の方までずーっとですよ。お花が咲いたらすごい光景なんだろうな。

左側に沢の音を聴きながら。まだまだものすごい水量だけどほんとに水源まで行くのかな…と若干不安になってしまう(;'∀')

足元にはサラサドウダンの花がたくさん落ちていました。見上げて探してみたけどもうひとつも残っていなかったな。

お花といえば甲武信ヶ岳シャクナゲが有名なのでその時季に登りたいと思っていたけど、しれっと見頃を逃してしまいました。またいつかの機会に。

源流まで4km。頑張っていこー。

先程の道標のすぐ前には鳥居と小さなお社。オオヤマツミ様は有名な神様なのであちこちでお祀りされているとは思いますが、我が家の近くの傘山にも碑があるのでとても身近に感じてしまいます。

そういえば枝雀さんの…何の演目だっけ、「手頃な神様、心安い神様ありませんか?」って尋ねるシーンがあったような(言葉はうろ覚えですが)。愛宕参りかなぁ…また聴いてみよ。

最初の平坦ロードから若干山道モードになりました。

ちょっと急な下りも。ここで私は足元に気を取られていたのですが…

頭上ではサラサドウダンがまだ咲いていました!後ろを歩いていたオットに教えてもらい、カメラのズームでなんとか撮れた一枚(;'∀')かわいい~

山中での巨石あるある。つっかえ棒…。

おお、これは岩屋のようだな…中に入ったら涼しそう(と思っただけで入りませんでした)。

またサラサドウダンみっけ。あらら、ひとつクモの巣に吊られて宙ぶらりん。

わ、突如現れた広々平坦ロード。この辺りは植林なのかね。

すぐ横を流れていた沢は遠くなり、ずっと下の方から水の音が聴こえてきます。

緑の中をてくてく進みます。

朽ちた木が面白い形になっているのも山あるある。

時々、木の階段。

岩と苔と緑の風景。絵になるなぁ。

そう、この道中はどこを切り取っても「絵になる」のです… なんて思いながら歩いていくと

わっびっくりした!!!2頭の鹿が突如目の前に現れました(;'∀')

鹿は人間ごときにはビビらないんですよねぇ… 悠々と私たちの前を横切っていきます。

ふわふわ尻毛~。

「なに見てんのよ」と言われた気がしました…

鹿は眺めている分には可愛いんだけど、食害が深刻な問題になっているから複雑ですね。そういえば先程マルバダケブキの大群生があったからあれもいずれ食べられちゃうのかなと思ったのですが、マルバダケブキって毒があるから鹿も食べないんだそうですね。でも最近は毒のある植物も食べられ始めていると聞いたことがあるので(コバイケイソウとか)これからどうなっていくのか…。

そんなことを考えつつも緑の道を行きます。

気付いたらまた沢がすぐ近くに。目まぐるしいな。

苔の中にコミヤマカタバミ発見。お花はこれから開くところ?小さくて可愛いですね。

マイヅルソウの葉っぱもツヤツヤ。

8:09 ナメ滝までやって来ました。大体中間地点かな。ここでようやく他の登山者さんに会い、ちょっと嬉しい。

写真の腕のせいで魅力が伝えられない…。大きな一枚岩の表面をなめるように滑り落ちていく水の流れは圧巻でした。

ところでこの山行直前に人様の山行記録を読み漁っていたのですが、その中に「脳がバグってナメ滝をずっとナメタケと言っていた」という一文があって… いかん、つられる!確かに自然と出てきますわ、ナメタケというワード。

登山道脇にあったこの植物、ネコノメソウの仲間?みずみずしくてきれい。

さてお次のポイントは源流ですね。頑張っていきましょう~。

相変わらず高低差のあまりない道が続いています。ものすごく長く感じる…。

わぁ雰囲気のあるケルンだ。

絶妙なバランス…!

山登りを始めた頃はケルンを見かけると絶対参加していたのですが、最近は触らずに眺めるだけにしています。自分のバランス感覚に自信がないので(;'∀')

おや、岩の間に可愛い葉っぱが。私がいつも「クロクモソウ(仮)」と呼んでいるのに似ているけどこちらの方がちっちゃいし葉っぱの縁も丸い。オットが「チドメグサみたいだねー」と言っていたけどそうなのかな?

む、看板に遊歩道と書かれている…。こんな山の中に来て遊歩道はないんじゃないか、騙されないぞと思いつつ進んでいくと、

あららこれは遊歩道だわ\(^^)/と思わず言いたくなるようなルンルンロード。

沢の風景も素晴らしいし、良いところだ~。

再び小さなケルン。お坊さんが背を向けて座っているように見える…。

うーむやはり絵になる登山道だなぁ。

苔の庭園。

光の射し込み方が好き。

おおう、根っこぐねぐね歩きにくい道(実際は見た目ほどではないけど)。遊歩道とは…。

この中に苔むした巨神兵が倒れていても気付かないな、と思ったけどよく考えたら大きさでわかるか(よく考えなくてもだな)。

進む先になんだか立派な橋が見えました。これを渡るのか。

スタコラサッサ。これを造るのも大変な労力だろうな…ありがとうございます。

橋を渡った先にはまたケルン群。

源流まで0.9km… なかなかに長いな。

時折空を見上げつつ。青空~。

沢の左側、ちょっと狭い登山道をテクテクと進みます。

水の流れがキラキラしていてとてもきれい。

あ、オサバグサだ!決して目立つ花ではないのですがなんだか可愛らしくて好きなのですよ。ひらっと妖精のような佇まい。

更にもう少し進めば…

9:29 千曲川信濃川の水源にようやく到着しました…!

標識がある辺りは小さな広場のようになっていたのだけど、肝心の水源はどこかな?とキョロキョロしていたら少し下に人影が見えました。挨拶がてら訊いてみたら「こっちにありますよー」と教えてくださいまして。ありがとうございますm(__)m

おお、ここが…

沢の流れの一番奥、岩の下から水が浸み出しているところ。ここからあの長大な千曲川信濃川が始まっているのか…!!感激\(^^)/

水を汲むこともできるのでボトルに足そうかなとも思ったけど…下山時に汲んで帰ることにしました。むやみに重いもの担いで登りたくないもんね←トレーニングになるといえばなるんだけどさ。

というわけで引き続き山頂を目指しましょう。

これまであまり標高を稼げないゆる~い道が続いていましたが、ここでようやく本格的な登りになってきました。そうだよね、一応標高差1100mくらいあるんだからなぁ。

わっせわっせ登ると、国師ヶ岳金峰山へ続く道との分岐に出ました。

以前テレビ番組でこの縦走路を歩いていたのは誰だったっけ…「なかなかワイルドな道ですね~」と話されていたのをよく覚えています。

オットはいつかこのルートをつないでみたいそうだけどどのくらい距離があるんだっけ、またちゃんと調べてみなければ。

今回は甲武信ヶ岳山頂を目指すので左の道へ。

時々木々の向こう側が開けて景色が見えるようになってきました。…あれっガスガスじゃん…!!

足元にはちょこちょこイワカガミ。鮮やかな色(^^)

もう少しだけ樹林帯を歩いたら、

突如視界が開けました。おおガレガレ。山頂間近ですね…!

一応頭上には青空が。元気出ますね\(^^)/

わーあそこのイワカガミ大家族だな。そんなことを思いつつひと登りすれば

10:22 甲武信ヶ岳山頂に到着しました~~お疲れ様!

あ、山頂標識に近づきすぎて字が見切れてしまった(今回望遠レンズを付けてきたのです)。

甲州(山梨)、武州(埼玉)、信州(長野)の3県にまたがる山ですが山頂は埼玉県になるんですね。

山頂にはソロの方が2人と空いていましたが、もう少し先へ進んだところに休憩できそうなスペースがあったのでそこを使わせてもらいました。ちなみに小屋まで行こうか?という話もしていたのですが今回はやめておきました。またテント泊でぜひ訪れたいと思います。

今回も山で料理はせずおにぎり作戦。夏~秋山行の我が家の定番です。うるち米ともち米ブレンド、味付けはその時あるもので。大葉、みょうが、ごま、ごま油、かつおぶし、塩昆布、梅干しなどなど。

それと、いつ買ったかわからない一口サイズのフルグラ(;'∀')賞味期限ぎりぎりだったので慌てて持ってきました。味は美味しかった~また買おう。

むしゃむしゃ食べながら周りの景色を楽しみます。おや、あちらは…

ぽこぽこと面白い形の山だなぁ。麓を車で走っていてもニョキッとインパクトのある山容が目立ちますよね。御座山かな?と思ったけど、天狗山・男山の辺りなのかも。

下の方に見える白いのはレタス畑のマルチかな?

さて、しばしのんびりさせてもらったのでそろそろ下りましょうか。上の写真は休憩場所近くの岩場の隙間に咲いていたイワカガミたち。もっと下の方にもたくさん咲いていました。強い生命力ですね。

山頂に戻る途中ミツバオウレンをひとつだけ見つけました。私が気付かなかっただけで他の場所でも咲いていたんだろうな。

そして再び山頂。下りも気を付けていきましょう。

おお、更にガスってきている…。

眺望もないし下りだしで、写真も撮らずどんどこ下って…

水源地まで戻ってきました\(^^)/ありがたく水を汲ませていただき、帰宅後にオットが珈琲を淹れてくれました。やわらかくてとても美味~贅沢~~~。

登りでは気付かなかったけどマイヅルソウのお花もあったのね。

にょきっと生えてきたようなケルン。

なんだか展示されているような状態の葉っぱ。この感じとても好き。

ナメタケ…もとい、ナメ滝まで戻ってきました。シャッタースピードを少しいじってみたけどこれで合ってるのかよくわかりません(;'∀')とにかく美しい水の流れでした(実物は)。

あ、登りではまだ閉じてたカタバミが開いてる!時々こういうことがあるけど嬉しい瞬間ですよね。

苔と緑の庭園を黙々と… まぁ登りでもそうだったけどやっぱり長いなこの道…

標高下げると青空。これも山あるある…。

マルバダケブキの大群生まで戻ってきました。駐車場は近いぞ!

木の枝には申し訳程度のサルオガセ。

そして… おおー駐車場が見えてきた~~!

13:52 毛木場(毛木平)に無事下山となりました\(^^)/今年は絶対登りたいと思っていた甲武信ヶ岳、ケガなく楽しく登れて本当に良かったです。千曲川信濃川の水源地も訪れることができて感無量。次はテント泊でゆっくり行きたいな。

 

▲おまけ

下山後、車窓から見えた山。天狗山かな、男山かな(全然違っていたらすみません)。盛夏が過ぎたらあの辺りも目指してみたい。

温泉は八峰の湯へ。お風呂上りにソフトクリームを注文したらコーンかカップかと尋ねられ、うーん…と迷っていると「うちのカップはコーン付きのソフトクリームが逆さまになって出てきますよ」と店員さんが教えてくれました。じゃあそれで!と勢いよく注文。アイスが溶けるのが心配でよくカップで注文するけど、コーン付きって嬉しいですね。アイス自体も結構ボリュームがあってお味ももちろん美味しかったです!

晩ごはんはまたハルピン味噌ラー。満腹満足~~~。

登山自体の楽しさももちろん好きだけど、下山後の「今なら何でも食べられるぞ…!」という無敵感がたまらなく好きです。

今回も読んでくださりありがとうございました\(^^)/