ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

『のび太の日本誕生』を観る。

先日書いた前期中期旧石器時代や原人のことと関連するようなしないような話。

【過去記事】気になる年表。 - ひねもすのたり。

【過去記事】原人はどこへ。 - ひねもすのたり。

 

ここ数年で考古館などへ足を運ぶ機会が増えている私たち。そんな中、ふと「のび太の日本誕生の舞台っていつ頃だっけ」と思い立ち、アマプラで観てみました。

1989年公開のオリジナル版。何度か繰り返し観た気がするので、当時近くのレンタルビデオ屋で借りてもらったか、テレビで放送されたのを録画したのかも?いずれにしても子供の頃の記憶であります。

日本に人がいる頃だから3万年前くらい?と思って観はじめたら、時代はなんと7万年前、しかもククルたちがいたのは中国で、ヒカリ族の人々を日本に連れてくるという流れで「こんな話だったっけ!」とびっくり。

でも7万年前といったら…と思った辺りでのび太たちが「ねぇなんだか寒くない?」と話し始め、そこでドラえもんが一言。

第四期後期更新世ヴュルム氷期が始まったあたりかなぁ

・・・言ってた!!このセリフ!!めちゃめちゃ覚えがある!!!

当時の私にとってはよくわからない用語の羅列のはずが、言葉の音だけでもこんなに記憶に残るのか~。

あとついでに言うと「衣・食・住でありま~~~す!!」「ここからぼくのうちぃぃぃぃ~~~」というセリフも異様に覚えがあり、更にジャイアンの「おれ母ちゃんの奴隷じゃないっつーの!!」はこの映画で出てきたんだっけか、と思わずニヤニヤしてしまいました。

それにしても、改めて考えるとドラちゃんよくそんな難しい言葉知ってるなぁと感心してしまいますよね。見事に知的とポンコツを反復横跳びして生きているな。あと、レアではあるけどのび太が知的になる回も時々ありますよね。太平洋の海底を歩く話では「これが大陸だなか」というセリフがあって、当時「へ~なるほど」と思ったような記憶が。

 

さて7万年前の日本というといわゆる氷河期で日本は大陸とつながっていたんですよね。作中でもドラえもんたちが中国へ向かう際に人間はタケコプター、動物たちは自力で飛んでいたのだけど、「陸続きだから疲れたら下に降りて休めるよ」と言う場面がありました。

そして「日本人の祖先もこうして大陸から歩いて渡ってきたのかもね」というセリフがあるのですが…作中ではどこでもドアでぬるっと移住させているのがじわじわ来ますね…('ω')

ところで今回この『のび太の日本誕生』の時代について調べていた時、気になる記述を見つけました。どうやら原作のラストでは「ククルたちがやってきたのは7万年だが、それ以前にも日本に人はいたようだ。ただ彼ら(旧人)はやがて絶滅したらしく、今の日本人との血のつながりはない」という解説があったとのこと。

えっそんなふうに書いてあったっけ!?アニメだけじゃなく原作漫画も読んだはずなんだけど…子供の頃だったからさらっと読み飛ばしたのかな。

先日書いた大桑村資料館のパネルに通じるものがありますね。藤子・F・不二雄先生もそのように考えられていたんだなぁ…子供たちに夢を与えるなんともロマンのある話ではありませんか。(先日の記事でぶつくさ書いたわりにドラ絡みになると激チョロな私でした)

縄文後期の丸木舟(埼玉の博物館にて)

7万年前は大陸とつながっていた日本だけど、現生人類が日本へ渡ってきたとされる3万8000年前はまた地形が変わっていたのですよね。大陸と陸続きだったのは北海道のみ、それ以外は大陸から切り離され海に囲まれていたようです。

当時の人々がどのように日本へ辿り着いたかというと、サハリンから北海道に至る北海道ルート、台湾から琉球列島を北上する沖縄ルート朝鮮半島から対馬を経て北部九州へ至る対馬ルート、という3つの説が考えられるのだとか。

北海道以外のルートは海を越えなければいけないから、当時の人々は高い航海技術を持っていたのではという話をよく耳にします。有名な話では、静岡県沼津市の遺跡から3万8000年前の神津島産の黒曜石が見つかったというものがあり、これは世界最古級の往復航海の証拠だ!とされているようです。

どんな人々がいつどのように日本にやってきたのか、真実はわからないけどククルがいたヒカリ族のような穏やかで良い人たちだといいなぁとぼんやり思ってしまった私でした。

 

…あ!今気付いたけどクラヤミ族ってもしかしたら別のホモ属なのかな?完全に敵対していた上に見た目も随分違っていたし。時代的にネアンデルタール人

ネアンデルタール人は目の上が張り出し額が突出している、引き締まった巨大な筋肉を持つ、などという特徴があり、残酷で乱暴ものと考えられていたとか。まんまクラヤミ族じゃないか…。

ただ研究が進むにつれて儀式で使われたとされる道具や壁画などが見つかり、彼らは高い思考能力を持っていたのかもしれない、と言われるようになったそうです。そういえばお墓の下から花粉が見つかったことで「ネアンデルタール人は死者に花を手向けていたのでは」という説があると聞いたような気がします。

↑ぼんやりとした記憶だったので改めて検索したら「その説は間違いだったようです」という記事が出てきました(;'∀')どうやら土に巣を作るハチが花粉を運んだ可能性が高い、と結論付けられたみたい…

とはいえ、花葬ではなかったもののお墓を作って死者を弔っていたことに間違いはないようです。知能が低いただの乱暴ものではなかった、ということですね、きっと。

(ネアンデルタール人についてはこちらに詳しく書かれていました↓ 

ネアンデルタール人、なぜ絶滅? どんなヒトだったのか ナショナルジオグラフィック - 日本経済新聞)

なんだか色々脱線してしまったけど、クラヤミ族ネアンデルタール人は深読みしすぎかな。でももしかしたら私が知らないだけで公式の設定になっていたり、もしくはファンの間では常識だったりして?

久々のドラ映画でしたがとても楽しかったな~。他のも色々観てみよう。