ひねもすのたり。

日々と山と猫と蕎麦屋のこと。

顔の付いた注口土器たち。

今回の旅で出会った印象的な土器たち。

前の記事では完成度がバグった注口土器をご紹介しました。

異彩を放つ注口土器。 - ひねもすのたり。

他にも面白い注口土器がたくさんありまして、例えば…

SNSで見て「なんだこのひょっとこは!」と驚愕したこちらの注口土器。実物を見てもやっぱりひょっとこだったのですが…

あーーーこれミミズク土偶か!!!そう言われれば確かに!!!!

さっきまであんなにひょっとこひょっとこ言っていたのに、もうミミズク土偶にしか見えないという妙なアハ体験でした。あの丸いのが耳かな。

こちらもミミズクのようだけどタヌキっぽく見えておもしろ可愛い。

目の間、少し上についているものはもしかして鼻の穴かしら。

飯島の資料館にも鼻がだいぶ上についた土偶があり、職員さんいわく「人と同じように作るとよろしくないからわざとデフォルメ化したという説がある」そうで。何故よろしくないかというと、確か人間そっくりに作ると命を持ってしまうからという理由だったような…もちろん諸説あるでしょうし、こちらのミミズクがそういう意図でデザインされているかというとそれは違うかもしれない。

あ、裏側のお顔を見ると完全にお鼻ですね。この土器は縁飾りも付けられているから、いわゆるミミズク土偶サザエさん風ヘアスタイルができているんだなー。

ちなみに先程の諏訪木遺跡のミミズク注口は一部しか残っていなかったらしく、「全体が残っていたらもう1つ顔があったかもしれない」と図録に書かれていました。もう二度と見ることのできない本来の姿。タイムマシンさえあれば…。

お次はこちら。パッと見、東北の土偶を思い出してしまいました。合掌土偶のような…仮面タイプの顔。

やっぱり東北と関係があるんだ!安行3a式…安行式土器ってどこかに説明が書かれていたな。写真には残していなかったので図録を確認してみると、

安行式土器には、後期段階から東北地域にルーツを持つ文様装飾が取り入れられ、晩期にはより顕著になる。~中略~ 亀ヶ岡式土器が受け入れられ、土器そのものや土器作りの知識を持った人々が関東地域に入ってきていた可能性がある。(特別展図録より抜粋)

そうだ、亀ヶ岡!実は今回こちらの博物館でボランティアガイドさんの説明を聞かせていただいたのですよ。その時に「後期になると亀ヶ岡式土器の影響が出てきて…」と確かにおっしゃっていました。「東北地域の文化と混ざり合ったというか、まぁ、乗っ取られたというか…」とポロっとこぼしてらしたけど、どんな融合の仕方をしたのか気になるところ。

縄文時代は個人vs個人の喧嘩はあったとしても、集団vs集団のいわゆる戦争の形跡はなかったと言われています。

他地域から人の流入があった時、先住民が「いいよーおいでーみんな一緒にここで暮らそう」という完全ウェルカム体制だったのも想像できますが、場合によっては移住民が「へぇーいいとこじゃん、オレらも住んでいいよな?な?(圧)」「お、おう…」というやや微妙な雰囲気になったこともあったのでしょうか。

以上、イマジナリー縄文人の召喚タイムでした。

こちらは晩期の作。亀ヶ岡式の影響が表れているかどうかが、安行式の後期と晩期を分ける基準となっているそうです。なるほど…。

その隣に展示されていたのがこちら。スンッ…とした顔がなんともシュール。

出自不明の顔ってなんだかいいな。個人的にツボです。

…あれ、ちょっと待って、出自不明は「顔」にかかってるってことでいいんですよね?もしや土器の方にかかってる?…あ違うわ土器の出自はわかってるのよ遺跡名も時期も判明しているんだから。いやーこれぞ日本語の妙(私が勝手にトチ狂っただけ)。

まるでアレみたいですね、「頭が赤い魚を食べる猫」でしたっけ。猫が赤い魚を食べるのか、魚を食べる猫の頭が赤いのか、それとも猫の頭(!)が赤い魚を食べるのか。

わけのわからない方向に話が脱線してしまいました。

こちらの土器、胴部の羊歯状文は東北にルーツを持つものの、顔の表現は東北の土偶とも関東の土偶とも異なるのだそう。それで出自不明とされているのですね。

「この顔は一体、どこにルーツがあるのでしょうか?」図録より

うーん、長野新潟山梨あたりのどこかでこういったシンプルな顔を見かけたような気もするのですが…パッと思い浮かぶものがないな。心に留めておこう。

おお、こちらは…!まんま遮光器土偶の顔ではないですか。

安行式、晩期の作。素人目でもこんなにわかりやすく特徴が表れているんですね。

※今更ですが最初にご紹介した2つも安行式晩期でしたが東北っぽさはわからず_(._.)_

それにしてもこの文章、力の抜けた感じがとても良かったです。「どうしたの?」って確かに言いたくなるー。ちなみに私は諦観の表情に一票(異論はバリバリ認めます)。

じっと眺めていると仏様のお顔のようにも見えてくるな…。

 

さて今回はこの辺で。続きはまた改めて書きますね_(._.)_